「山の巨人たち」
10月23日(木)~11月9日(日) 新国立劇場 中劇場
作:ルイジ・ピランデルロ 翻訳:田之倉稔
演出:ジョルジュ・ラヴォーダン
<ストーリー>
世界から隔絶した山間に建つ一軒の別荘「ラ・スカローニャ(不運)」と呼ばれる屋敷。
この別荘の主は世界に絶望し隠遁生活をおくる魔術師コトローネだ。
彼は「まがまがしい者たち」と一緒にここに住んでいる。
ある日この別荘におちぶれた旅の一座がやって来た。
伯爵夫人と名乗る主演女優イルセは正気と狂気を行き来している。
彼女はかつて彼女に恋する詩人をその気にさせて『取り替えられた息子の物語』という大傑作の戯曲を執筆させた。
しかしその後詩人を拒絶し、詩人は自殺した。
こうした彼女の非人道的な幾多の仕打ちを目の当たりにしながらも、劇団員たちはイセルの天才的演技にひかれてこの落魄の一座から離れられずにいる。
劇団員は別荘に一夜の宿を借りた。
その晩、彼らは夢の中に引きずり込まれ、幻想的な体験をする。
魔術師コトローネは言う。「ここは魔法の館です。夢は我々の知らないうちに、我々の外に出て動き出すのです」
さらにコトローネは「山の巨人と呼ばれる二家族の結婚式の余興に『取り替えられた息子の物語』を演じてみてはいかが」と提案する。
果たして、世間の趣味から見放された大傑作は「山の巨人たち」に受け入れられるのだろうか?
〈新国立劇場配布・ステージノート No.105 より〉
<出演者>
【伯爵夫人の劇団員】
麻実れい/伯爵夫人
手塚とおる/伯爵
田中美里、綾田俊樹、大鷹明良、植本 潤、大原康裕、渕野俊太
【屋敷の住人】
平 幹二朗/コトローネ
及川 健、田根楽子、久保酎吉、細見大輔、真織由季、佐伯静香、
【演奏】
小 春/アコーディオン
澤田若菜/バイオリン
<感想>
よく分からないけれど、何となく面白かった。
セットは途切れた大きな石の太鼓橋。
舞台が斜めと聞いていたが、思ったよりも角度があった。
そこをゴロゴロと転がることもあり、落ちないかと心配してしまったが、かなり滑り止めが効いているんだろう。
しかし歩いていても、足が踏ん張っている感じで大変そうだと思った。
途切れたのはそこまでが舞台だからかと思ったら、実際にそういう設定らしい。
旅の劇団と屋敷の住人が登場するが、その様相が反対。
劇団員はみんな黒っぽいスーツできちんとした感じで面白みがなかそう。
片や屋敷の住人の方はまるでサーカスの団員のような異様な人達。
バレリーナだったり、飛行機乗りのゴーグルを頭につけたり、真っ赤な衣装でメガホンを持っていたり。
この人達は実在ではなく、亡霊なのではとも思ったが、どうなのだろう。
本当は現実の世界の人達とは交わりたくなかったのだ。
来てしまったからには自分達の世界に引き込もうと、別の世界を見せていく。
その世界は魂だけが抜け出して行く世界。
骸骨や仮面を付けた人形が登場してくる。
ちょっと異様だが、そんな世界が面白い。デヴィッド・リンチの世界を思い出した。
舞台上で演奏される、アコーディオンとバイオリンの音色も幻想的な世界に誘ってくれる。
ストーリーがどうのより感覚を楽しむ、みたいな。
伯爵夫人のイセルとコトローネが、世の中について言い合うシーンも長い。
台詞劇なので、聞いていて頷く言葉もあるが。
未完の戯曲、ということで最後は字幕でその後のストーリーが知らされる。
えっ、そんなことになるの、と以外な展開。
結局、劇団員の魂はまたコトローネの屋敷に帰っていくのではないだろうか。
観劇のきっかけの及川健さん。役名は屋敷の住人、クアケーオ。
及川さんのブログで事前に名前は知っていたが(クワッケーオと書いてあった)そうでなかったら名前を呼ばれても、なんて呼んでいるか分からなかっただろう。
そして、ステージノートを見ると、「小人クアケーオ」になっていた。
そうか、小人の役だったのだ。
しかし、小人が登場すると、ますますデヴィッド・リンチだ。
真っ赤な衣装でメガホンを持って。
髪はオレンジ色、フィデルより鮮やかだったかも。
夢の中では頭からすっぽりとナイロンの袋をかぶって、ロングの黒いコートを着ていた。
強盗が顔が分からないようにストッキングをかぶるのと同じ状態だが、及川さんはそんな状態でも人形のようで綺麗だった。
目は閉じているように見えたが、それで動いて軽く踊ったりするから、見えているのだろう。
無表情なのが、突然「イヒヒヒ」と感じの笑い顔を見せるのが面白かった。
及川さんは他にもこんな名前のあると、他の人の役名を書いてくれていたが、実際にステージで名前を呼ばれたりして分かる人物は少なかった。
ステージノートにはきちんと書いてあるが、確かになかなか発音出来そうにない。
稽古の時は役名で呼び合ったりしていたのかな。
細見大輔さんはミロルディーノ。
名前は呼ばれていなかったと思う。台詞は少なかった。
ミロルディーノの役目は久保酎吉さん演じるドゥッチョ・ドッチャを後ろから羽交い絞めにして動きを封じること。
どうしてそうするのかは、よく分からないのだが。ドゥッチョ・ドッチャが過激だったのかな。
10月23日(木)~11月9日(日) 新国立劇場 中劇場
作:ルイジ・ピランデルロ 翻訳:田之倉稔
演出:ジョルジュ・ラヴォーダン
<ストーリー>
世界から隔絶した山間に建つ一軒の別荘「ラ・スカローニャ(不運)」と呼ばれる屋敷。
この別荘の主は世界に絶望し隠遁生活をおくる魔術師コトローネだ。
彼は「まがまがしい者たち」と一緒にここに住んでいる。
ある日この別荘におちぶれた旅の一座がやって来た。
伯爵夫人と名乗る主演女優イルセは正気と狂気を行き来している。
彼女はかつて彼女に恋する詩人をその気にさせて『取り替えられた息子の物語』という大傑作の戯曲を執筆させた。
しかしその後詩人を拒絶し、詩人は自殺した。
こうした彼女の非人道的な幾多の仕打ちを目の当たりにしながらも、劇団員たちはイセルの天才的演技にひかれてこの落魄の一座から離れられずにいる。
劇団員は別荘に一夜の宿を借りた。
その晩、彼らは夢の中に引きずり込まれ、幻想的な体験をする。
魔術師コトローネは言う。「ここは魔法の館です。夢は我々の知らないうちに、我々の外に出て動き出すのです」
さらにコトローネは「山の巨人と呼ばれる二家族の結婚式の余興に『取り替えられた息子の物語』を演じてみてはいかが」と提案する。
果たして、世間の趣味から見放された大傑作は「山の巨人たち」に受け入れられるのだろうか?
〈新国立劇場配布・ステージノート No.105 より〉
<出演者>
【伯爵夫人の劇団員】
麻実れい/伯爵夫人
手塚とおる/伯爵
田中美里、綾田俊樹、大鷹明良、植本 潤、大原康裕、渕野俊太
【屋敷の住人】
平 幹二朗/コトローネ
及川 健、田根楽子、久保酎吉、細見大輔、真織由季、佐伯静香、
【演奏】
小 春/アコーディオン
澤田若菜/バイオリン
<感想>
よく分からないけれど、何となく面白かった。
セットは途切れた大きな石の太鼓橋。
舞台が斜めと聞いていたが、思ったよりも角度があった。
そこをゴロゴロと転がることもあり、落ちないかと心配してしまったが、かなり滑り止めが効いているんだろう。
しかし歩いていても、足が踏ん張っている感じで大変そうだと思った。
途切れたのはそこまでが舞台だからかと思ったら、実際にそういう設定らしい。
旅の劇団と屋敷の住人が登場するが、その様相が反対。
劇団員はみんな黒っぽいスーツできちんとした感じで面白みがなかそう。
片や屋敷の住人の方はまるでサーカスの団員のような異様な人達。
バレリーナだったり、飛行機乗りのゴーグルを頭につけたり、真っ赤な衣装でメガホンを持っていたり。
この人達は実在ではなく、亡霊なのではとも思ったが、どうなのだろう。
本当は現実の世界の人達とは交わりたくなかったのだ。
来てしまったからには自分達の世界に引き込もうと、別の世界を見せていく。
その世界は魂だけが抜け出して行く世界。
骸骨や仮面を付けた人形が登場してくる。
ちょっと異様だが、そんな世界が面白い。デヴィッド・リンチの世界を思い出した。
舞台上で演奏される、アコーディオンとバイオリンの音色も幻想的な世界に誘ってくれる。
ストーリーがどうのより感覚を楽しむ、みたいな。
伯爵夫人のイセルとコトローネが、世の中について言い合うシーンも長い。
台詞劇なので、聞いていて頷く言葉もあるが。
未完の戯曲、ということで最後は字幕でその後のストーリーが知らされる。
えっ、そんなことになるの、と以外な展開。
結局、劇団員の魂はまたコトローネの屋敷に帰っていくのではないだろうか。
観劇のきっかけの及川健さん。役名は屋敷の住人、クアケーオ。
及川さんのブログで事前に名前は知っていたが(クワッケーオと書いてあった)そうでなかったら名前を呼ばれても、なんて呼んでいるか分からなかっただろう。
そして、ステージノートを見ると、「小人クアケーオ」になっていた。
そうか、小人の役だったのだ。
しかし、小人が登場すると、ますますデヴィッド・リンチだ。
真っ赤な衣装でメガホンを持って。
髪はオレンジ色、フィデルより鮮やかだったかも。
夢の中では頭からすっぽりとナイロンの袋をかぶって、ロングの黒いコートを着ていた。
強盗が顔が分からないようにストッキングをかぶるのと同じ状態だが、及川さんはそんな状態でも人形のようで綺麗だった。
目は閉じているように見えたが、それで動いて軽く踊ったりするから、見えているのだろう。
無表情なのが、突然「イヒヒヒ」と感じの笑い顔を見せるのが面白かった。
及川さんは他にもこんな名前のあると、他の人の役名を書いてくれていたが、実際にステージで名前を呼ばれたりして分かる人物は少なかった。
ステージノートにはきちんと書いてあるが、確かになかなか発音出来そうにない。
稽古の時は役名で呼び合ったりしていたのかな。
細見大輔さんはミロルディーノ。
名前は呼ばれていなかったと思う。台詞は少なかった。
ミロルディーノの役目は久保酎吉さん演じるドゥッチョ・ドッチャを後ろから羽交い絞めにして動きを封じること。
どうしてそうするのかは、よく分からないのだが。ドゥッチョ・ドッチャが過激だったのかな。
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