しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「逃れの町」 フェイ・ケラーマン

2008年11月22日 | 読書
「逃れの町」 フェイ・ケラーマン  創元推理文庫
  SANCTUARY     高橋恭美子・訳

ピーター・デッカーはデボンシャー署殺人課にパートナーのマージ・ダンと共に配属になる。
マージが任されたのは弟家族が前日から連絡が取れないとうるさく訴える女性のもとに行くことだった。
その女性、オリット・バル・ルルはイスラエル人で弟のアリーク・ヤロームはダイヤモンド・ディーラーだという。
家族は妻のダリアと息子のギルとダヴ。
家の中は整然としていて、争いがあった形跡や旅行に出掛けた様子はなかった。
しかし、息子2人は学校を無断で欠席しており、何も様子が分からないことが帰って不安を感じさせた。
一方、9ヶ月の娘ハンナの世話に忙しいリナの元には、あまり親しくはなかった同級生ハニー・クラインが4人の子どもを連れて泊まりに来る。
そのクライン一家がレンタカーで出掛けたまま、車を残して行方不明になる。
ハニーの夫のダイヤモンド・ディーラーだった。
デッカーは両方の失踪事件を捜査するうち、事件解決はイスラエルにあると、ヘブライ語が分かるリナを伴いイスラエルに向う。 

デッカーシリーズ第7弾



今までもユダヤ教のことが色々分かり興味深かったが、それは今回も同じ。
しかも、後半はイスラエルが舞台のなるので尚更だ。
この物語が書かれたのが1993年頃、という事は物語もその頃なのだろうか。
和平に向けての動きが活発になっていた頃だと思うが、それでも物語では爆弾テロがあり不安な情勢が伺える。
現在はイスラエルとパレスチナの現状は、先が見えない。
今回の事件は大きな政治的な問題も係わっていて、すっきりした解決は見ないのだが、それでもそれなりに、多分気持ちが落ち着くようにとまとめ上げてくれている。
ダイヤモンドの問題はアフリカだと思っていたが、ユダヤ人にも大きく係わっているのだ。
世の中、知らないことがまだまだある。
今回は、設定や舞台からしてリナが大活躍。
というか、リナの行動力に振り回されるデッカーという感じ。
お互いを心配するからこそ、苛立つこともある。
でも、言っていい事といけない事をわきまえている2人だからうまくいくのだろう。
「恋愛関係で支配権を握るのはいつも女」だそうだ。

タイトルの「逃れの町《アレイ・ミクラット》」
自分の身内が殺されたら相手に報復しても、法はそれを例外扱いして死刑に処せられることはない。
しかし犯人が〈逃れの町〉に逃げこんだら、殺すことは許されない。
しかしそれは過失による殺人で、故意によるものなら〈逃れの町〉などどこにも存在しない。



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