しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「リアル鬼ごっこ」 山田悠介

2008年01月24日 | 読書
西暦3000年、人口1億人。
この王国で“佐藤”という姓を持った人口は5000万人を突破した。
国王も“佐藤”姓。
ところが、突然国王は同じ姓を持つ人間がたくさんいることに不快に覚え、“佐藤”抹殺計画を実行する。
それはゲーム感覚で、鬼が佐藤姓の人間を捕まえる鬼ごっこの形式を取る。
1日1時間を1週間。最後まで逃げ延びた者には何でも願い事を叶えるという。
しかし国王はすべての“佐藤”の抹殺しか頭になかった。
100万人の鬼が佐藤探査ゴーグルを付け、乗り物禁止で追いかけ、捕まった者は殺される。
優秀な大学陸上選手の佐藤翼は、走ることには自信があった。
翼には幼い頃に別れた母と妹がいた。
リアル鬼ごっこの2日目。父親から妹を居場所を聞いた翼は妹・愛を助けることを誓う。



我侭な馬鹿王が登場して、諌める家来もいない。
ちょっと童話的な感覚で進んでいく王宮の中の会話。
象の卵の玉子焼きが食べたい、という可愛いものならまだ良かったのだが、こちらは大量虐殺。
鬼ごっこが始まってからは「バトル・ロワイアル」を思い出させる。
しかし、こちらはとてもストレートに物語が進んでいく。
真っ直ぐな幹だけの物語で、あまり以外性もなくラストも想像が付いてしまう。
こんな状態になったら、もっと色々なことが起こりそうな気がする。
5000万人も佐藤さんがいたら、国王のいる宮殿にも佐藤さんがいるだろうし、親戚はいいのだろうか。
ただ走るだけでなくもっと賢く身を隠す佐藤さんもいそうだ。
密かに助ける佐藤さん以外の人間とか。
他の人は乗り物には乗れなくても外出は自由なら、大勢で動き回って邪魔も出来そうだし。
などなど、他にも色々考えてしまった。
本当は賢い家来がいて最後にドンデン返しで大団円、を期待していたのだがそれはなかった。
そんなに社会は甘くないか。
でも童話のような始まりなのだから、童話のように終わってもよかったかな。

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