しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「北帰行」  佐々木譲 

2011年06月30日 | 読書
「北帰行」  佐々木譲        角川書店

ひとりで旅行代理業を営む関口卓也は、ロシア圏からのお客のアテンド、ガイドが専門。
モスクワからひとり旅の客、タチアナ・クリヤカワ(ターニャ)を3日間、東京滞在をアテンドすることになり、成田に迎える。
ターニャの来日の目的は、自分の妹を殺したヤクザ、西脇組の組長、西脇克夫への報復だった。
ターニャの銃撃後の逃走を否応なく手助けした卓也は、最後までアテンドすることを要求される。
組長を殺された舎弟・藤倉奈津夫は、ターニャを執拗に捕らえようとする。
事件の捜査を担当することになった警視庁組織犯罪対策部の寒河江は、暴力団抗争と考えるが、以外な人物の目撃情報に戸惑う。






巻き込まれ型のサスペンス。
卓也は始めから、ターニャに魅せられていたのだろう。
逃げる機会はあったが、自分から助ける道を選ぶ。
そんな卓也に、ある程度感情移入出来るが、ラストはちょっと感覚が違った。
妹の事も、言葉ほどの憤りや悲嘆が見えない。
母親に対する愛情も。
そして、ターニャに対する愛情も中途半端な気がする。
だから、ラストの行動もなんとなくしっくり来ない。
それ以上に、ラストがいまひとつ。
もう少し、知恵を絞って何とかならなかったのか。
と言うか、その前に組織のヒットマンとして送り込まれたのなら、仕事の後のフォローももっとしっかりあるのでは。
民間人に、脱出をアテンドさせるとは、お粗末過ぎる。
ラストは、映画の“テルマ&ルイーズ”を思い出したけど。

暴力団関係の物語は、気が重くなる。
暴力の世界が苦手。
それでも、物語として面白かった。
ヒロインが、スーパーウーマン過ぎるし、警察が無能過ぎるというのはあるけれど。
防犯カメラでなどで、もっと色々なことが早く分かるだろう。
もっと三つ巴の、追跡劇になるそうな気がするが。

稚内は観光に行って、まだ記憶が新しいので、防波堤のドームの様子も良く分かる。
読んでいて想像しやすい。
はやり行ったところが舞台だと、ちょっと違う。
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