しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ペインテッド・ハウス」 ジョン・グリシャム

2005年10月06日 | 読書
「ペインテッド・ハウス」 ジョン・グリシャム

舞台は1952年秋、アメリカ南部、アーカンソー州ブラックオークと言う小さな町。
そこの綿農家の7歳になるルーク・チャンドラーが見た約2ヶ月の物語。
ルークは両親と祖父母の5人家族。
周囲は果てしなく広がる綿畑。収穫の時期になると綿の摘み取りの為に人を雇う。
その年、山地民(ヒルピープル)の家族7人とメキシコ人10人がルークの家にもやって来た。
綿摘みの季節は学校も休みになり、ルークも一人前の労働力として1日働く。
日々の暮らし、土曜日に行く町の様子、山地民のスプリュール家やメキシコ人との関わり、町に来るカーニバル、<秋のピクニック>の野球大会。
そして幾つか起こる事件、出会いと別れ。
雨が降ると綿の収穫が出来ず、洪水を起こしやすし川は収穫を駄目にして行く。
働いても、働いても、借金がなくならない農家の暮らし。





ペインテッド・ハウスとは、ペンキを塗った家の事。
ルークの家はペンキを塗っていない。ルークの祖父イーライはペンキの塗る必要はないと思っていたからだ。
しかし、その事をスプリュール家の長男が馬鹿にする。
身体が不自由な12歳の次男トロットは、綿摘みが出来ない代わりに、内緒でルークの家にペンキを塗り始める。
しかし、トロットの体力では、スプリュール家が引き上げるまでに仕上がるはずも無く、
ルークがその後を引き継ぐ。
ペンキが足りなくなると、自分で稼いだ綿摘み代でペンキを買う。
それを見て、メキシコ人が塗る手伝いをしてくれる。
両親は農家に見切りを付け、北部に出て行こうとしていた。
洪水と雨により収穫の見込みがなくなると、その決心が付き、ルークのペンキ塗りに協力する。
イーライは何も言わずに見ていた。メキシコ人も他の働き口に移って行った。
ペンキはわずかに足りず、正面の壁に塗っていない個所があるが、出発の日がやって来た。
イーライはルークに「お前達が帰って来るまでに塗っておこう」と言いルークは「うれしいな」と答えるが、もう、この家に帰って来る事はない事を、ルークもイーライも感じていた。

ジョン・グリシャムと言えば、サスペンスだが、これは、少年の成長を書いた物語。
しかし、面白さの点では変わらず、一気に読ませるし、目の前に果てしなく広がる綿畑が見える気がする。話の内容は決して明るくないが、柔らかい光と爽やかな風が感じられる作品。
ルークは7歳。でも、しっかり考え行動している。一人前として扱われているからか、
昔の人の方がしっかりしていると思う。

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