しましましっぽ

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「特捜部Q―アサドの祈り―」 ユッシ・エーズラ・オールスン

2021年03月22日 | 読書
「特捜部Q―アサドの祈り―」 ユッシ・エーズラ・オールスン  ハヤカワ・・ミステリ 
   OFFER2117     吉田奈保子・訳  

キプロスの浜辺に、難民とおぼしき老女の遺体が打ち上げられた。
新聞で「犠牲者2117」として紹介された彼女の写真を見たアサドはうちのめされ、慟哭する。
彼女は、彼が失った最愛の家族とのつながりを持つ人物だったのだ。
アサドはついに自らの壮絶な過去を特捜部Qに打ち明ける。
一方、Qには若い男から殺人予告の電話がかかってきた。
当初はいたずらかと思われたが、本気のようだ。
Qの面々は、男が凶行にいたるまえにその所在をつきとめられるのか? 
ついにアサドの素性が明らかになるシリーズ激動の第八弾!
     <裏表紙より>





今回の主役は日本版のタイトルにもあるようにアサド。
(しかし、祈りとはちょっと違うような)
アサドの過去と現在進行中の物語。
アサドの本名や家族、それまでの事も分かる。
今までの「特捜部Q」とは趣きが異なる。舞台もドイツのベルリンへ。
何となく予想はしていたのは、アサドはイラク出身で、その為に発生した災難だと思っていた。
しかし1歳でイラクを脱出、シリア経由で5歳からデンマークにいた。
アサドの災難は巻き込まれたものだった事が驚きだった。
あんなにラクダの例え話をしていたのに。
今までのアサドの様子からは思いもしないことの連続。
優秀過ぎたゆえの災難。
そして、壮絶な現在の戦いが終わっても、昔とは同じになれるとは思えない状況。
少しでも平穏な気持ちで過ごしていければいいが。
最悪にシナリオにはならず、その中ではベストな結末なのだが。
これからの事が気になって、ホッと出来ない。
「犠牲者2117」から始まった物語はもう1つある。
これには復活したローセとゴードンが主にあたる。
カールとアサドが対決するのが組織的テロリストで、ローセとゴードンが対決するのは1人のテロリスト。
その人物、アレクサンダに出て来るキーワードが日本の物。
「ヒキコモリ」は、日本だけなのだろうか。
アレクサンダが「トシロー」と名乗る。「三船敏郎」から来ているのだが。
その後、ローセたちが「トシロー」と呼びかける活字を見ていると「トーシロー」と読んでいる自分がいた。
だって、トーシローみたいな人物なのだ。
そして、幾ら刀を研いだからって、そんなにスッパリとは切れないだろう。トーシローには。
アサドの事で気持ちがいっぱいなので、こちらの話は少々邪魔な感じもした。
テロリストはどこにでもいる、ということだろうか。
デンマークとイラク戦争の係りも始めて知る事だった。



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