しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「スティール・キス」  ジェフリー・ディーヴァー  

2018年05月01日 | 読書
「スティール・キス」  ジェフリー・ディーヴァー    文藝春秋    
THE STEEL KISS      池田真紀子・訳
 
殺人犯を追跡中のアメリア・サックスの目の前で、エスカレーターが通行人を巻き込んだ! 
アメリアの必死の救助活動もむなしく男は死亡、殺人犯「未詳40号」も逃走してしまった。
ある事件をキッカケにリンカーン・ライムがニューヨーク市警の顧問を退いた今、アメリアはライムの助力を得られず、その教えに沿って捜査をつづけるほかなかった。
一方ライムは、エスカレーターで死亡した男の妻から民事訴訟のために事故を調査してほしいとの依頼を受ける。
ライムの弟子として働き始めた車椅子の元疫学研究者ジュリエット・アーチャーを交え、調査が開始される。
なぜエスカレーターは不具合を起こしたのか。
そもそもこれは事故なのか。
犯人追跡のさなかに事故が起きたのは偶然なのか?
そして「未詳40号」ことヴァーノンが物陰からそっと眼を光らせる。
自分を追う女刑事アメリア――殺人計画を完遂するためには、あの女刑事を阻止しなくてはならない……。
日常の道具を凶器に変える殺人者。
鉄壁のパートナーシップが揺らぐ中、名探偵ライムと刑事アメリアは犯人を捕らえることができるのか。
ドンデン返しの魔術師の名シリーズ、第12作。
       <単行本カバー見返し側より>








ディーヴァーのリンカーンシリーズは、はやり面白い。
代名詞となったドンデン返しも健在。
それも、思わぬところからひっくり返される。
今回もハラハラさせられる場面もあるが、それが思わぬ形でひっくり返る。
そして、色々考えさせられる。
エスカレーターの事故は、中国で起こった事故を思い出してしまう。
事故も衝撃だったが、その後に事故にあわないようにと、床に足を付けないように乗る人の映像には驚かされた。
階段を使えばいのに、と。
便利さに慣れた人間は、多少の事ではその便利さを手放せなくなるのか。
機械をそこまで信じていいのかと思う事もある。
便利が1番とは限らない。

事件の他に、それぞれの登場人物が抱える問題もある。
多かれ少なかれリンクはしているのだが。
それらもあまり本筋を邪魔することなく、溶け込んで人物に厚みを持たせる。
アメリア・サックスとジュリエット・アーチャーの関係にも、ちょっとハラハラしたりして。
同じ場にいる時の2人の微妙な空気感に、こちらが緊張する。
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