「生首に聞いてみろ」 法月綸太郎

綸太郎は友人の写真家・田代周平の個展で、川島江知佳と出会う。
江知佳は石膏彫刻家・川島伊作の娘で、綸太郎と面識のある翻訳家・川島敦志の姪だった。
この日、伊作は娘をモデルにして製作した石膏像を完成させた後倒れ、帰らぬ人となる。
その石膏像の首が切断され持ち去られる事件が起こる。
それは、江知佳への殺人予告とも考えられ綸太郎は内々に調査を頼まれる。
疑わしいのは、以前江知佳にストーカー行為を働いた写真家の堂本峻。
しかし、首の切断は内部の者の仕業と思われた。
そして、江知佳が行方不明になり、首だけが送られてくる。


本当にタイトルの通りに生首が出て来てしまう話。そして、本物の悪人が犯人だった話。
悪人が勝ってしまった様で江知佳が可哀想だった。
綸太郎の推理もいまいち冴えないのは、どうして？どうして助けてあげられなかったのと悔しくなる。
石膏像に話なども、興味深く、流れる様に進んで行く話だった。
ただ、あまり起伏がなく平坦な印象も受ける。それでも先を急いで読んでしまうのだけれど。
余談として、今度彫刻を観る時は目に注目したいと思った。確かに採光をくりぬいてあるのも、真っ白なのも観た気がする。