「私は死にたくない」 １９５８米

バーバラ・グレアムは売春や偽証の前科があったが、今は結婚して赤ちゃんもいた。
しかし、夫がギャンブルにはしり、お金に困っていた。
ある日、カルフォルニア州バーバンクで独り身の老婦人が殺された。
２ヵ月後、前科者エメットとジャックが逮捕される。そして、一緒にいたバーバラも共犯の疑いで連行されてしまう。
バーバラはその時、無効の小切手を使い、相手から隠れていたのだ。
バーバラに前科があったことから警察はバーバラを犯人と決めてかかり、エメットとジャックもバーバラを主犯に仕立てる事で罪が軽くなる様に画策していた。
話題性を持ったバーバラに対し、マスコミも犯人と煽り立てる。
事件の夜、彼女は夫と激しい口論をしていた。しかし、それを証明する夫は、その夜家を飛び出したきり行方知れず。
彼女は、結局八方塞がりのまま公判を迎える、死刑判決を受ける。

無実を叫びながらガス室送りとなった実在の女性死刑囚バーバラ・グレアムの手記をネルソン・ギディングとドン・マンキウィッツが脚色、Ｒ・ワイズが演出した社会派ドラマ。


罪を認めないバーバラに、警察がおとりを送り、嘘の証言を無理やり言わせ、それを録音して証拠に使う場面もあった。
昔はそんな事をしていたのかと、怖くなる。
そして、マスコミも。ある記者がその後、バーバラの無罪を信じて力になるのだが・・・・。
マスコミの力も怖い。敵にするか、味方にするか。しかしあっと言う間に反対の立場になってしまう事もある。
それは今も昔も同じなのだ。
冤罪は何処にでも存在する。人が人を裁く難しさ。そして殺してしまう事。
死んでしまったら、もう取り返しはきかない。
しかも刑を執行する日、刑の執行を延期する電話が２度も掛かり、その度に待たされ、延期は却下される。
刑を迎える前は、諦めて落ち着きを見せていたバーバラだが・・・。
死刑囚だからと言って、こんな残酷な事は許されないと思ってしまう。