「人間の証明」 森村誠一 講談社文庫
東京ロイヤルホテルのスカイダイニングルームへ上がるエレベーターの中で1人の外国人男性が死亡する。
胸にナイフが刺さっていた。
若い黒人男性で、持っていたパスポートからニューヨーク在住の24歳ジョニー・ヘイワードだと分かる。
ジョニーは4日前に初来日し、東京ビジネスマンホテルに滞在していた。
フロントは1人でやって来て、片言の日本語を話したと証言する。
やがて、ジョニーが刺された場所が判明して、そこで事件に関係しているか分からなかったが、古い麦わら帽子が見つかる。
アメリカにもジョニーの調査を依頼する。担当したニューヨーク市警の刑事、ケン・シュフタンは、ジョニーが「日本のキスミーに行く」と言っていた事実を掴み日本に知らせる。
ジョニーを空港から乗せたタクシーに忘れ物が見つかる。
それは古い、西条八十の詩集で、棟居刑事がその中から、麦わら帽子に関係した詩を見つける。
そしてその詩の舞台は霧積だった。
キスミーは霧積、そして麦わら帽子。棟居と横渡は霧積へ向かう。
昔、映画で見た。映画の印象は強い。
「母さん、僕のあの帽子、どうしたでしょうね?
ええ、夏碓氷から霧積へ行くみち、溪谷へ落としたあの麦わら帽子ですよ」
と言うフレーズがとても印象的で、今でもしっかり覚えている。
その後テレビ放映でも何度か見たと思うが、本で読んだのは始めて。
映画ではジョニーのシーンをよく覚えている。ジョー山中さんの名演技だった。
そして棟居刑事は松田優作さん。
本は、この事件と恭平が起こす事件が同じ位重要になっている。
それが余計に八杉恭子の姿を鮮明にする。
しかし、ジョニーに見せた愛情は、恭平や陽子には全くと言い程見せていないのは何故だろう。
自分の子と1人別れているのに、子どもに愛情はないのだろか。それが不思議。
そして恭平の事件解決の鍵がクマの縫いぐるみだったとは。
片や麦わら帽子。なんか可愛い。
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