しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「フロスト気質(かたぎ)」 R・D・ウィングフィールド 

2009年03月22日 | 読書
「フロスト気質(かたぎ)」 R・D・ウィングフィールド  創元推理文庫
  HARD FROST         芹澤恵・訳   

ハロウィーンの夜、ゴミの山から少年の死体が発見されたのを手始めに、デントン市内で続発する難事件。
連続幼児刺傷犯が罪を重ね、15歳の少女は誘拐され、謎の腐乱死体が見つかる。
これら事件の陣頭指揮に精を出すのは、休暇中だったはずのジャック・フロスト警部。
勝ち気な女性部長刑事リズ・モードを従えて、因縁浅からぬ部長代行のジム・キャシディ、そしてフロストを他の署に追いやり警察署長のマレットとやり合いながら。
睡眠時間も削り、仕事中毒フロストの捜査が続く。

ジャック・フロスト・シリーズ、第4弾。


兎に角、文句なく面白いフロスト警部の物語。
第4弾も期待に違わず面白かった。
事件が続いて起こること、万年人手不足のデイトン署、必ず現れるフロストと対立するエリート刑事。
そんな設定は同じだが、それがまた楽しめる。
なんとかやり込めようとするマレット署長を、機転とユーモアある会話でかわしていくのも面白い。
しかし、今回は子どもが絡んだ事件が多いので、心痛な気持ちになっている事も多く、しんみりともさせられる。
フロストは品がなくてだらしないところもあるけれど、人の心の痛みや辛さが分かる人。
規則より人の気持ちを大切にすると、どうしてもはみ出してしまうのか。
しかし、嫌な仕事を部下に押し付けず、自らが進んで行なうので、いつの間にか部下から慕われる存在になっていた。
出世に無関心な人間と、それが1番の人間の違いがありありと見える。
人間にとって何が大切か、なんてことも考えさせられたりして。
上下巻になって今までで1番の長編だが、その長さは感じさせなかった。
今までと密度の濃さは同じということだ。

R・D・ウィングフィールド氏は昨年亡くなられたそうだ。
新作はもう読めないのかと思ったら、未翻訳のフロスト・シリーズは後2作、あるとのこと。
早く読みたいが、それで終りかと思うと寂しい。



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