しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「the TEAM ザ・チーム」 井上夢人 

2007年06月08日 | 読書
8編からなる連作短編集。
テレビのコーナー番組で、霊と会話して相談者の悩みを解決する霊導師、能城あや子。
そのあや子の霊の力を助ける、〈能城コンサルティング〉社長兼マネージャーの鳴滝昇冶。
そして、同じ鳴滝が社長の会社〈OMO〉の社員2人、ひとりは家宅侵入のプロ草壁賢一、もうひとりはコンピューターのプロ藍沢悠美。
この4人のチームの物語。

「招霊 おがたま」(「妹のいた部屋」改題)
能城あや子の霊能が偽りであることを証明しようと、ゴシップ週刊誌の記者・稲野辺俊朗が超能力や心霊現象を偽りだと告発するサイトを作っている桂山博史を組み、偽の心霊写真を作りテレビ番組に持ち込む。

「金縛」(「かなしばり」改題)
毎晩金縛りに合い、身体に傷を負う主婦の相談にのる。
一方、過去に悠美がWebの掲示板で中傷された友人・真希を助け、仕返しをする物語も平行して書かれる。

「目隠鬼」
情緒不安定で、何かに憑かれているような友人を心配して、相談に連れてきた潮田百合。
その友人・松原三智子は名前を変え、過去も消して暮らしていた。

「隠蓑」
稲野辺はインタビューに応じないあや子に相談者の振りをして近づく。
そして、あや子の指示で輪島に出掛けた、品田澄子は輪島で旅館の毒物混入事件に巻き込まれて死亡したことを伝え、あや子が輪島へ行け言わなければ死なずに済んだのにと、責任を問う。

「雨虎」(「あめふらし」改題)
津野田律子は越して来た家に幽霊が出るという。幽霊の正体は。

「寄生木 やどりぎ」
相談者だった、恩田光枝が自殺した。
調査は打ち切りになるが、何か腑に落ちない悠美は一人で調査を続ける。

「潮合 しおあい」
草壁が調査の為に家宅侵入した所を盗撮される。
その意味を知った、あや子の昔馴染みの五十嵐が強請りに来る。
あや子の過去が明らかになる物語。

「陽炎」
前作の盗撮テープのコピーを手に入れた稲野辺は、あや子の嘘を暴けると思った。



霊導師・能城あや子。
霊導師と言っていても、本物ではないことは始めから知らされて、その相談に来る対象者の調査から、色々なことが分かってくるという、結構推理要素も強い物語。
あや子は主人公のようだが、あまりどのような性格なのかはっきりしない。しかし、どっしり構えている存在感は感じられる。
そして、どういう人かという好奇心は最後にはちゃんと満足させてくれる。
しかし、コンピューターを駆逐したり、登場する事件はかなり残酷だったりするのだが、読んでいて、人情という言葉が大きく浮かび上がる物語だった。タイトルもチーム、なんてカタカナなのに。
日本的な古風な香りがなんとなくしている。
そして、悠美のように犯罪が出来るくらいコンピューターを扱えたらいいと思う。無理だけど。
面白かった。続編はないのだろうか。

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