しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「許さざる者」 笹本稜平   

2009年03月06日 | 読書
「許さざる者」 笹本稜平   幻冬舎 

深沢章人は30代半ばのフリーライター。
6年前に3歳年上の兄、雄人を自殺で亡くしていた。
ある日章人を楠田弁護士が訪ねて来て、雄人の妻、朱美からの依頼で死因の再調査をしているという。
雄人は自殺の3日前に入籍していて、章人はそのことを知らなかった。
そして、雄人に父親が受け取りの多額の保険が掛けられていたという。
他殺ならば疑わしいのは父親だ。
2人の母は幼い頃に交通事故死していたが、その時雄人は母親を殺したのは父親だと言っていた。
章人は真相を探るために、雄人の葬儀以来、実家を訪れる。



自殺とされた兄の死を探っていく。
誰が味方か敵か、腹の探り合いをしながら、というところもあり張り詰めた空気感があった。
展開も面白かったのだが、ラストが少々都合よくまとまり過ぎた感じがする。
そして、ばたばたと人が死んでしまうのもちょっと日本的ではなく、違和感がある。
アメリカなどではあっという間に人を殺してしまうので、アメリカならありかも知れないが。
ラストのために伏線を張っていたのだと思うが、それもあまりなくてもいいようなエピソードのような気がした。
そして、すべてをはっきりさせなくてもよかったのでは、という気もする。
とラストだけ少々不満。
はっきりと悪い人間が登場してくるが、悪くなるのはお金のため。
お金の事しか考えられない人間は正常な感覚も麻痺していくのだろうか。
現実にもそんな事件は起きている。
必要以上の物を追い求めるのは、罪悪だろう。

ちょっと怪しげな弁護士が登場。何かあるのかと思ったら、特になにもなくそれは肩透かし。
予想した所に捻りはなく、なくても良さそうな所が捻ってある。
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