しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「赤い指」 東野圭吾  

2006年12月30日 | 読書
前原昭夫は、痴呆症の母親・政恵と妻・八重子と中学生の息子・直巳との4人暮らし。
妻と母親の折り合いが悪く、母親の世話には近くに住む妹・春美が通って来ていた。
そして直巳も手に負えない存在になっていて、昭夫は家にいる時間を意識的に少なくしていた。
そんなある日、妻から早く帰ってきて欲しいと電話が掛かってくる。
不安を感じながら帰った昭夫は、家の庭に少女の死体を発見する。
八重子の話で、直巳が殺したらしいというが、直巳に罪悪感はなく、問い詰めると暴れ出す。
昭夫と八重子は対策を考え始める。
少女は翌日、近くの公園で発見されるが、その捜査にあたったのは、加賀恭一郎だった。



加賀恭一郎の家族のことも出て来る物語で、家族の物語でもあると思うのだが、結構、嫌悪感を強く感じる物語だった。
それは前原家のあまりにも壊れた家庭が示されたからだろうけれど、最後まで読んでも、通じた気持ちと全く通じていない気持ちがあり、嫌悪感と苛立ちは修まらなかった。
愛情は引き継がれていくもののひとつだと思う。それが引き継がれていないとしたら、やはり何処かで間違いがあったと思う。
だから、最後の結末も、もっとなんとかならなかったのかと思えてしまった。
一番頑張って欲しかった昭夫が、父親として最後には息子の心に響くような事をして欲しいと思ったが、それはやはり難しいのか。
この後、この親子はどうなっていくのだろう。
恭一郎の父親に対する接し方もいまひとつ、しっくり感じない。
なんとなくやり切れなさばかりが残る物語だ。

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