しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「悪魔はすぐそこに」  D・M・ディヴァイン 

2014年11月27日 | 読書
「悪魔はすぐそこに」  D・M・ディヴァイン    創元推理文庫    
  Devil at Your Elbow          山田蘭・訳

ハードゲート大学の数学講師ピーターは、横領容疑で免職の危機にある亡父の友人ハクストンに助力を乞われた。
だが審問の場でハクストンは、教授たちに脅迫めいた言葉を吐いたのち変死する。
次いで図書館で殺人が起き、名誉学長暗殺を仄めかす手紙が舞い込む。
相次ぐ事件は、ピーターの父を死に追いやった八年前の醜聞が原因なのか。
   <文庫本裏カバーより>





大学と言う狭い世界の中の物語。
大学内のスキャンダルや、教授という人間の変質な所。
そんな胡散臭い世界で起こる殺人。
悪い方と良い方の人物分けがまず出来る感じ。
良い方に主人公のピーター・ブリーム講師と婚約者のルシール・プロヴァン講師。
ルシールの同居人で、大学の事務局員のカレン・ウェストール。
38歳のグレアム・ラウドン法学部長。
悪い方は各学科の教授たち。
それぞれの思惑やプライドがあり、探り合うような人間関係。
しかし、それは警察のハルバート警視とフィニー警部補の関係にも見られる。
ちょっと三角関係的なピーターとルシール、カレンの間にも微妙な空気感がある。
それぞれの気持ちや考えていることなど丁寧に書かれ、面白い。
事件は過去に起こった事件との繋がりを解き明かしつつ、良いテンポで進む。
分かりそうで分からない。
ゆったりした雰囲気もあるが、緊迫感も。
タイトルの「悪魔はすぐそこに」がぴったりだ。
解説で再読を進めているが、まさに、犯人が分かってもう1度読んでみたいと思わせる。

と言う事で、早速日を置かずに再読。
面白かった。
その人物の裏に隠されていた感情が、今度はよく見える。
登場人物のそれぞれの感情や性格も、もっとはっきりした感じで分かる。
謎解きだけではない、面白さがあり犯人が分かっていても楽しめる。
悪魔は、いつも悪魔とは限らない。
何気ない顔をして、自分では悪魔とは思っていないのだろうから、穏やかに存在する。
表面だけの様子を見て、心のうちは分からない。
それは、他の人物にも言えること。

相手を気遣う気持が大切なのだ。
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