しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「境遇」  湊かなえ 

2014年10月17日 | 読書
「境遇」  湊かなえ   双葉社     

絵本「あおぞらリボン」で絵本大賞新人賞を受賞した高倉陽子。
「あおぞらリボン」は母親の子どもに対する愛情と思いを青いリボンに込めた物語だった。
陽子の夫正紀は県議会議員で、5歳の息子裕太がいた。
選挙公示の前で、正紀が海外出張中に裕太が誘拐される。
犯人からの要求は「世間に真実を公表しろ」と言うもの。
真実とは。
正紀は不正献金疑惑があった。
そして陽子には児童養護施設から養子になっていた。
そして、「あおぞらリボン」のモデルは同じような境遇の親友晴美だったが、そのことを隠していた。
新聞記者の晴美に、不正献金のことを調べてくれるように頼む。






誘拐事件があるが、何となく緊迫感を感じさせない。
誘拐に対する反応が、今一つしっくりと来ない。
他の脅迫もあるけれど、それにしても、こんなのでいいのかと。
「真実の公表」も何を指しているのかはっきりしないのに。
結果を見ると、そういう状況が必要なのだったと思うが。
そして陽子と晴美の関係も違和感が。
境遇が同じだから友達になったのか、関係なく友達になれたのか、そんな疑問を持っている陽子と晴美。
そんなことを考えてしまう自体、意識して維持している関係ではないだろうか。
そして、相手の感情を全く感じ取れないでいるのも不思議。
相対している人が負の感情を持っていたら分かりそうだ。
昔の事件と結びつけても、あまりサスペンス度は上がらない。
いまひとつ、盛り上がらないまま終わってしまった中途半端さを感じる。
絵本「あおぞらリボン」も重要なアイテムなら、もう少し詳しくこの絵本の内容も知りたかった。


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