しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「天国の囚人」 カルロス・ルイス・サフォン

2018年05月10日 | 読書
「天国の囚人」 カルロス・ルイス・サフォン  集英社文庫    
 EL PRISIONERO DEL CIELO         木村裕美・訳

1957年、バルセロナ。
父の書店で働く青年ダニエルは、結婚間近の親友フェルミンの様子がおかしい事に気づく。
彼宛に不可解なメッセージを残す謎の男の来店もあり、友人を問い詰めると、フェルミンは自らの過去を語り始めた…。
18年前、監獄に収容された事。
そこで出会った作家マルティンの事、彼と交わした約束の事。
『風の影』『天使のゲーム』をつなぐ、「忘れられた本の墓場」シリーズ第3弾!
   <文庫本裏表紙より>







『風の影』から2年後。
ダニエルとベアトリスの間に生まれた子はフリアンと名付けられている。
フェルミンが語る、それまでの自分の事。
本来の名も失い、生きていく事も難しい現実に置かれた過去。
政治犯として投獄される。
そんな牢獄で出会ったのが、ダビッドだった。
混乱の政治に、惑わされる国民。
安定がどれほど大事なものなのか、考えさせられる。

この物語は4部作。
この物語では、すべての謎は解明されない。
イサベッラの死の真相がこの通りなら、『天使のゲーム』のダビッドに宛てた手紙と少し違う。
死を予期して書いたとあるが、そんな時間はなかった。
ダビッドが受け取った状況も。
まさかこんな残酷な死が待っていたとは、イサベッラも思っていなかっただろう。
あのイサベッラがこんな風に殺されるなんて。
またしても、復讐劇が幕を開けそうだ。
ロシイートは、天使のような心を持った娼婦。
こちらは『風の影』に登場するが、若い時の様子がフェルミンとのかかわりで出て来る。
安らぎを与える存在だが、それは今も昔も変わっていない。


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