ある日、アトリエの入り口の壁に〝幼虫”がじっと捕まっていたのをみた。
翌日行くとまだ同じ場所にしがみついている。
良く見ると脱皮しようとしているらしい。
2,3日してあまり様子が変わらないので、どうした事かと思っていると、壁の下方に赤い点が動いている。
ナナホシテントウムシだ。まだかまだかと眺めていたのはもはやも抜けの殻だったのだね。
アブラムシを食べてくれる益虫(草食性のてんとう虫もいて場合によっては害虫にもなるらしいけれど)なので天道虫を邪険に追い払う人は少ない。
テントウムシは幸運の象徴とされているのはそういう事からもあるだろうが、思わず飾りにしたくなるような、赤く艶のある小さな丸い愛らしい形も手伝っているのではないだろうか。
プロヴァンスでは結婚が近い男性がいると天道虫が彼に止まると言う言い伝えがあるそうだ、幸福の使者ということなのだろう。
また女性の人差し指にテントウムシを止まらせて飛び立つまでの時間を計るのだが、一秒が一年と勘定して婚期を占うと言う話もあるようだ。
太陽に向って飛んでゆくから天道虫と名づけられたというけれど、私はまだ太陽に向っている天道虫を見かけた事が無いなあ。