(前回のつづきです。)
対馬は南北に細長く、北部の拠点比田勝から対馬の中心南部の厳原まではかなりの距離があります。この間を結ぶのが対馬交通のバス路線「縦貫線」で、便数は一日4往復と少ないものの約85kmを約2時間半かけて走る大物です。おそらく日本の「離島の」一般路線バスとしては最長と思われます。この路線に乗って比田勝から厳原へと南下することにしました。
比田勝の町中に対馬交通バスの拠点上県営業所があります。ここの停留所名は「比田勝」です。
敷地にはきちんとした待合室や出札口があり、ここで1000円の一日乗車券「1日フリーパス券」を買っておきました。この切符は対馬島内の対馬交通・対馬市営バス全線に乗れるものですが土・日・祝日とお正月・ゴールデンウィーク・お盆の各10日間限定なので平日は使えません。ただし外国人用は平日も利用可能とのことです。JRの外国人用フリー切符「ジャパンレールパス」などと同様の切符があるのはさすが「日本で一番外国に近いところ」だと感心しました。
ここから出発するバスはちゃんと待合所前に横付けしてから発車します。
貸切車両は厚遇されているのか単に待合所前に停車してから発車する必要がないからか道路に面した上屋の下に置かれています。
ここを夕方に出る厳原行き最終便に乗りました。厳原行きの始発停留所はこの営業所ではなく数百メートル離れた「上対馬病院」で、営業所まで来ると律儀に一旦敷地に入ってちゃんと待合室前から発車します。画像は上対馬病院からやって来たところで、右に見える建物が貸切車両の上屋です。四角い穴から見えるようにツシマヤマネコが描かれた車両がありました。
この路線はほぼずっと国道382号線を走って行きます。てっきり全線2車線以上に拡張済みかと思っていたらまだ1車線の狭隘区間が散らばっていて意外でした。ただトンネルがいくつも穿たれいわゆる羊腸のような峠越え区間はほぼ解消されているのでごくすんなり走っていきます。
1時間15分南下した仁位停留所に豊玉営業所があり、ここが縦貫線のほぼ中間地点です。5分ほど停車時間がありここで運転士さんが交代しました。(ここで交代しない便もあるとのことです。)
営業所は国道を挟んで両側に敷地がひろがっています。
こじんまりとした待合室をのぞいてみたところなかなか良い雰囲気でした。
仁位を出るとつるべ落としそのままの夕暮れです。対馬はもともと一つのつながった島だったのが二つの運河にちょん切られる形で三つに分かれていて、まず万関瀬戸にかかる万関橋(画像上左)、さらに大船越瀬戸にかかる大船越橋(上右)と渡る頃には真っ暗になりました。
その後一旦国道から離れ「対馬やまねこ空港」(下左)に寄ると5分停車が挟まるダイヤですがやや遅れて着いたため軽い時間調整程度で出発します。一般の路線バスとは違う塗装の空港シャトルバス(下右)が待機しているのが見えました。
空港を出るとごくすんなりと郊外然とした道を走りますが、厳原の町中に入る手前で一旦国道を逸れ海沿いの小浦を経由するのでやや目先が変わります。厳原の町中に入るとほどなく着く厳原バス停で降りると比田勝から2時間26分、運賃は3250円にもなり1000円で済む一日乗車券の威力に感謝せずにはいられません。ちなみにせっかく直通しているのに比田勝から通して乗っていたのは私だけだったので(そういえば運転士さんも途中で交代しています)ちょっともったいない気がしました。
なおこの路線は町の中心にあるこの厳原バス停からさらに5分ほど走った厳原病院が終点で、比田勝側も上対馬病院が始発ですから病院発病院行きということになります。厳原病院に向かうラストスパートを見送って「乗りバス」を終えました。
厳原バス停前にはショッピングセンターやホール、図書館が入っている複合施設「TIARA(ティアラ)」(対馬市交流センター)があり、韓国語と日本語で書かれた「歓迎・ようこそお越しくださいました。」という横断幕に迎えられるとまだ韓国から着いたような気分が抜けません。釜山~比田勝間の高速船の所要時間が1時間10分なのに対し釜山~厳原間も釜山から1時間55分とやはりバスの比田勝~厳原間より短く韓国がごく近いわけです。
改めて考えてみると対馬には釜山~比田勝間の「日本最短の国際航路」の隣にそれより時間も距離も長い「日本(の離島)最長路線バス」が走っているというわけでなかなか面白い対比だと思います。
(つづきはこちらです。)
(韓国~九州乗り継ぎ話一覧)
■(1)釜山→対馬(比田勝)
■(2)比田勝
■(3)韓国展望台
■(4)日本の離島最長路線バス(比田勝→厳原)(このページ)
■(5)対馬(厳原)→壱岐(郷ノ浦)
■(6)郷ノ浦~勝本
■(7)フェリーみしま
■(8)壱岐(郷ノ浦)→唐津
■(番外)福岡・釜山・対馬の麺もの
対馬は南北に細長く、北部の拠点比田勝から対馬の中心南部の厳原まではかなりの距離があります。この間を結ぶのが対馬交通のバス路線「縦貫線」で、便数は一日4往復と少ないものの約85kmを約2時間半かけて走る大物です。おそらく日本の「離島の」一般路線バスとしては最長と思われます。この路線に乗って比田勝から厳原へと南下することにしました。
比田勝の町中に対馬交通バスの拠点上県営業所があります。ここの停留所名は「比田勝」です。
敷地にはきちんとした待合室や出札口があり、ここで1000円の一日乗車券「1日フリーパス券」を買っておきました。この切符は対馬島内の対馬交通・対馬市営バス全線に乗れるものですが土・日・祝日とお正月・ゴールデンウィーク・お盆の各10日間限定なので平日は使えません。ただし外国人用は平日も利用可能とのことです。JRの外国人用フリー切符「ジャパンレールパス」などと同様の切符があるのはさすが「日本で一番外国に近いところ」だと感心しました。
ここから出発するバスはちゃんと待合所前に横付けしてから発車します。
貸切車両は厚遇されているのか単に待合所前に停車してから発車する必要がないからか道路に面した上屋の下に置かれています。
ここを夕方に出る厳原行き最終便に乗りました。厳原行きの始発停留所はこの営業所ではなく数百メートル離れた「上対馬病院」で、営業所まで来ると律儀に一旦敷地に入ってちゃんと待合室前から発車します。画像は上対馬病院からやって来たところで、右に見える建物が貸切車両の上屋です。四角い穴から見えるようにツシマヤマネコが描かれた車両がありました。
この路線はほぼずっと国道382号線を走って行きます。てっきり全線2車線以上に拡張済みかと思っていたらまだ1車線の狭隘区間が散らばっていて意外でした。ただトンネルがいくつも穿たれいわゆる羊腸のような峠越え区間はほぼ解消されているのでごくすんなり走っていきます。
1時間15分南下した仁位停留所に豊玉営業所があり、ここが縦貫線のほぼ中間地点です。5分ほど停車時間がありここで運転士さんが交代しました。(ここで交代しない便もあるとのことです。)
営業所は国道を挟んで両側に敷地がひろがっています。
こじんまりとした待合室をのぞいてみたところなかなか良い雰囲気でした。
仁位を出るとつるべ落としそのままの夕暮れです。対馬はもともと一つのつながった島だったのが二つの運河にちょん切られる形で三つに分かれていて、まず万関瀬戸にかかる万関橋(画像上左)、さらに大船越瀬戸にかかる大船越橋(上右)と渡る頃には真っ暗になりました。
その後一旦国道から離れ「対馬やまねこ空港」(下左)に寄ると5分停車が挟まるダイヤですがやや遅れて着いたため軽い時間調整程度で出発します。一般の路線バスとは違う塗装の空港シャトルバス(下右)が待機しているのが見えました。
空港を出るとごくすんなりと郊外然とした道を走りますが、厳原の町中に入る手前で一旦国道を逸れ海沿いの小浦を経由するのでやや目先が変わります。厳原の町中に入るとほどなく着く厳原バス停で降りると比田勝から2時間26分、運賃は3250円にもなり1000円で済む一日乗車券の威力に感謝せずにはいられません。ちなみにせっかく直通しているのに比田勝から通して乗っていたのは私だけだったので(そういえば運転士さんも途中で交代しています)ちょっともったいない気がしました。
なおこの路線は町の中心にあるこの厳原バス停からさらに5分ほど走った厳原病院が終点で、比田勝側も上対馬病院が始発ですから病院発病院行きということになります。厳原病院に向かうラストスパートを見送って「乗りバス」を終えました。
厳原バス停前にはショッピングセンターやホール、図書館が入っている複合施設「TIARA(ティアラ)」(対馬市交流センター)があり、韓国語と日本語で書かれた「歓迎・ようこそお越しくださいました。」という横断幕に迎えられるとまだ韓国から着いたような気分が抜けません。釜山~比田勝間の高速船の所要時間が1時間10分なのに対し釜山~厳原間も釜山から1時間55分とやはりバスの比田勝~厳原間より短く韓国がごく近いわけです。
改めて考えてみると対馬には釜山~比田勝間の「日本最短の国際航路」の隣にそれより時間も距離も長い「日本(の離島)最長路線バス」が走っているというわけでなかなか面白い対比だと思います。
(つづきはこちらです。)
(韓国~九州乗り継ぎ話一覧)
■(1)釜山→対馬(比田勝)
■(2)比田勝
■(3)韓国展望台
■(4)日本の離島最長路線バス(比田勝→厳原)(このページ)
■(5)対馬(厳原)→壱岐(郷ノ浦)
■(6)郷ノ浦~勝本
■(7)フェリーみしま
■(8)壱岐(郷ノ浦)→唐津
■(番外)福岡・釜山・対馬の麺もの