一花一葉  NewTraditonal IKEBANA 

徒然なるままに・・季節の植物に 心を遊ばせて

2003- NY生まれ、神戸育ち

2020-03-30 | 生け花

 地球上余すところなく、コロナウイルスの嵐が吹き上げる中 我が家のベランダでラデッシュの小さなピンクの花が咲き始めました。

数年前、ニューヨークのメトロポリタン美術館の別館、クロイスターを訪れた時 修道院の中では畑もある様で そこで採れた野菜の種がお土産として売られていたものです。

 二年ほどプランターで収穫していましたが、最後に残った数粒の種で今年は 種を収穫するつもりで育てていました。数本の発芽は見ましたが、二本だけが大きくなり その根っこはラデッシュとは思えぬ 子供のコブシほどで 背丈は50センチ以上となって 花の咲き始めた頭を海風に揺らしています。

 ニューヨークは今、大変な苦しみの中にあります。一日も早く、活気に満ちた文化のエキスの様な街に戻ってもらいたいと思います。

異国の地でも、この様に元気に花を咲かせる植物に その生命力に学び 人間の英知でこの苦難を乗り越えたいものです。

 花材 ・オリエンタルリリー ・チューリップ ・カスミ草 ・カーネーション

 花器 ・ガラス食器とコップ


2003- 陽 光

2020-03-27 | 生け花

 当地でも桜の開花が告げられました。

世の中がどのように騒然としていても、季節は確実に 変わらぬ風景を見せてくれます。

 「陽光」と言う名の桜・・その名の通リ、力強い春の喜びを 精一杯伝えています。

 

 花材 ・陽光桜  ・チューリップ ・ダリヤ ・カスミソウ

 花器 ・スモーキー ガラス花瓶

 


2003- 岬の春

2020-03-22 | 生け花

 世の中も私的なことも、不安な日々の中 私の心に暖かい一筋の光を 感じることがありました。

佐田岬に移住し、藍の栽培を始めたご夫妻が 大阪での仕事の帰りに 我が家に立ち寄ってくれました。

 藍の畑の生育も良く、藍染めの仕事も着実に実を結んでいる様子。それに奥様のお腹の中には、新しい命が宿り 八月頃が出産の予定との事。

お互いの信頼を糧にして、数々の問題を克服して行くお二人に このタイミングに逢えて 幸せを少しお裾分けして貰いました。

 

 花材  ・麦 ・菜の花 ・レースフラワー ・玉しだ

 花器  タイ製ブルー器


2003- 姉・妹

2020-03-19 | 生け花

  白地に古典的な,京小紋柄の着物は 亡き姉が(生き続けていれば86歳) 少女のころ着ていた物を 私・妹が少女になってから 晴れ着として着てきました。

私も妹も70代になり、この着物は長い間タンスに眠っていましたが 今年の夏 お揃いのブラウスに仕立て直してもらう計画でした。

 桜の開花も待たず、妹は棺の中でこの晴れ着を纏って旅立って行きました。

 

 花材 ・オリエンタルリリー ・カーネーション ・桜 ・カスミソウ

 花器 ・輪島塗り脚付き花器


2003- 愛のこころ

2020-03-12 | 生け花

   ベランタから見える いつもの夜景が 八日の夜から変わりました。目前のポートピア・ホテルの部屋の光が大きなハート形を描いています。

 新型コロナウイルスの影響で、沈み込んでいる神戸の街や人々を元気づける為だとのことです。初めてこれが灯された日は 妹の葬儀を終えて数日たった日でした。

 涙で滲んで見える この大きな暖かいハートの光は 私の悲しみを慰め 妹の死の冥福を祈ってくれている様です。周りの方々の 優しい心遣いと重なります。

 告別式の会場に供えられた 大量の花の一部を持ち帰り いくつかの花を生けました。