藍染めは世界各地で、その土地特有の藍色で人々の日常に溶け込んでいる様です。
私が藍染に興味を持ったのは、40代の頃でその染色の多様さを感じていたからです。
徳島の藍師 外山正さんとは岡山の画廊の藍染展でお会いしたのが最初でした。
その作品は澄み切った秋空の様な透明感のあるもの、また深海の神秘を感じさせる青色であったり その染められた布も麻・綿・ウール・芭蕉布・インドの布などなど 見飽きる事がなく長時間いた私に「藍染がお好きのようですね」と外山さんが声を掛けて下さったのがご縁でした。
私が生け花をしている事、次回の個展の作品の中に藍染の布を使いたいと告げると 工房に誘って下さり 中国製の比較的安価なシルクの薄布にいろいろの染柄の物を8枚作って頂きました。春の個展に「はるごろも」と言うテーマで曙椿と生けました。
その後、スカーフ大の藍染めの布は形を変えて幾度となく 私の作品の中で花材を活かしてくれます。
岡山後楽園の鶴鳴館で 外山さん所有の作品の数々とのジョイント展では 多くの方に和文化を楽しんで貰ったと思っています。
旅先で出会う、その土地に伝わる藍染がその風土気質を表している様で面白いと感じます。
生け花を通じて、神戸で知り合った若いご夫妻が藍染に魅せられ 外山さんとの出会いもあって愛媛県佐田岬で藍畑を作り藍染を始めて10年近くになります。
お二人が染める藍は外山さんのそれとは一味違って、岬の明るい空や海の色を映した様な若々しさに満ちています。藍の持つ、不思議な美しさが力となって次に引き継がれて行くのでしょう。
今は、体調を崩されお目にかかる事は出来ませんが 藍のマフラーをネジネジにして首に巻いた 日焼けした外山さんの笑顔が思い出されます。
花材 ・グロリオーサ ・パールブルー ・ドラセナ
花器 ・黄瀬戸花器
藍染タペストリー 外山正 作