コロナで世界が大変である。
友人などに連絡を取ってみると、やはり色々と混乱もあるが、落ちこんでてもしょうがないと開き直って、あえて呑気にやっている人など様々。
もちろん私も不安だが、こういうとき独身貴族というのは比較的ではあるが気楽ともいえ、根がインドア派だし、お金を使わなくても楽しめるタイプだし、「出られないフラストレーション」は少ない方かもしれない。
で、こういう話をしていると、かならずと言っていいほど
「外に出えへんで、どうやって1日すごしてんの?」
という話題というか情報交換になるので、今回は日記形式で自宅待機大型連休をレポートしてみたい。
■4月のある休日
朝10時起床。シャワーを浴びて、とりあえず野菜ジュースを一杯とインスタントのコーヒー。寝起きは苦手。飲みながらスマホをチェック。
見るのはニュースと天気予報。あとはテニスと将棋関係のを適当に。蔵前仁一さんのツイッターとか。
将棋は名人戦と叡王戦がストップして、とよぴーは大変だ。
それとも、タイトなスケジュールから解放されて一息ついているのだろうか。藤井聡太七段の「史上最年少タイトル」がほとんど消えてしまったのも残念。
朝食に紅茶、りんご4分の1、ミニくるみパン2個。テレビはすっかり見なくなったので、代わりに音楽をかける。
今日は映画音楽をランダムで。ジョージ・ガーシュイン『ラプソディー・イン・ブルー』『巴里のアメリカ人』などなど。
これだけ見ると優雅だが、実際は本だらけの部屋に万年床なので、絵面はしっかり男やもめである。死んでも、だれにも気づかれないな。
午前中はDVDを観る。中古屋で買ったり、昔ダビングしたものが山ほどある。
こういうのは「手元にあると、いつまでも観ない」という罠というか「あるある」があるので、いい機会だからあさってみる。
当然、昔観たものが多くなる。今日は『シャレード』。オシャンティーな作品。
なんとなく部屋の掃除をして、昼食。
おそばをゆでて、納豆と、すった山芋とゆでたオクラに、生卵、ワサビ、きざみ海苔に冷たい出汁を投入。
ぐりぐりかき回して、ずるずるすすりこむ。簡単で、美味いうえに栄養満点。
BGM代わりに、NHK-BSでやっている『ヨーロッパ トラムの旅』。路面電車の車掌さん目線で、ひたすら都市をレールに乗ってぐるぐる回るだけの番組。
メチャクチャ地味だが、これがまったりしてハマる。嗚呼、プラハとアムステルダムに行きたいぜ。
食後は少し昼寝。私は寝つきが悪いくせに、一度寝ると意地汚く眠ってしまうので注意が必要。
床の上とか、あえて寝心地の悪いところをチョイスして、1時間ほど。
午後からはコーヒーを飲みながら、ひたすら読書。私は本さえあれば無限に時間をつぶせる人間なので、こういうときありがたい。
せっかくヒマなので、多少ボリュームのある本を選ぶべしと、「南米文学強化週間」とする。ガブリエル・ガルシア=マルケス『わが悲しき娼婦たちの思い出』。マリオ・バルガス=リョサなど『悪い娘の悪戯』など。
『わが悲しき』は90歳になったおじいちゃんが、色々あったけど若い娘さんに出会ったら精力回復してワシ超ハッピーですわ!
『悪い娘』は、したたかなクソ女に惚れて振り回されてヒドイ目にあったけど、結局、恋はそういう自分のもんにならん女を、死ぬまで追いかけ続けるのがええんですね! そういう内容。
結論としては、地味なエリートと「歳とって、最近、元気ないわー」とボヤく老紳士は、キャバクラに行くか、清純キャラの内実ビッチなアイドルの追っかけをすればいいということ。ラテンアメリカの芸術はステキだ。
南米文学は読みやすいけど、なぜかやたらとカロリーを使うので、『バーナード嬢曰く。』でときどき箸休めしながら、ひたすら読みふける。
気がつけば夕方。散歩がてら、マスクをして近所のスーパーへ。
この辺では買いだめ騒動などもなかったので平和。あまりにいい天気なせいか、この光景と人類社会の大混乱が、どうしても結びつかない。
パパとママがレジで精算しているのを待つ子供たちを見て、「オレたち大人が、なんとかしなきゃな」などとガラにもないことを考える。
暖かい日だったので、「アイスの実」を買う。マスカット味がうまくて、いくつか買いだめする。ダメな大人だ。
夕食。ご飯を炊いて、大根をおろして、レバニラ炒めを作る。サイドにキムチ。
こういうとき、カレーを大量に作っておくという人が多いが、ナベを洗うのがめんどくさいので、あまりやらない。ひとり身だが、カップ麺やお弁当もあまり食べない。袋めんは野菜や肉を大量に放りこんで、鍋感覚でいただく。
食後はパソコンを開く。お茶しながら、YouTubeやラジオなど。
『マヂカルラブリーのオールナイトニッポン0』が激烈におもしろくて悶絶。流れで、ラップのコントも久しぶりに見直しちゃったよ。
高校時代「天才」と尊敬していた友人が、ビジュアルはいいのにアングラなセンスが爆発して女子から敬遠されてて、今思うと野田氏みたいな人だった。
彼の書くコントやマンガはいつか世に出したいけど、もう音信不通なんだよなあ。
寝る前に少し読書。猿谷要先生の『アトランタ』。読みやすく知的で、ともすれば軽視されがちなアメリカ南部の歴史や問題点がサクサク学べる、とってもステキな一冊。
よく男が男の価値をはかるのに「ケンカが強い」とか「仕事ができる」とか「女にモテる」とか出てくるけど、私の場合は断然「知性と教養」だよな。とか、そんなことを考えながら眠りに落ちる。