前回に続いて、悪口を聞いたことのない国や地域について。
バリ島やビルマのような、旅行者にすこぶる評判の良いところというのはあるもので、私も安宿やユースホステルで仲良くなった旅行者に、そういった場所を聞くことが多い。
これはわりと人によって好みが出るもので、バックパッカーの聖地インドはハマりすぎて「インド病」と呼ばれる人も出る反面、ミュージシャンで作家の大槻ケンヂさんのように、
「初めて行ったインドは【負け旅】だった」
ほうほうの体で退却を余儀なくされる人もいる。
またロンドンなんかは、大のミステリファンである私からすると
「どこに行っても聖地巡礼」
の財宝ザクザクな宝島だが、そうでない人にとっては
「物価が高い」
「飯がマズイ」
「寒くて暗い」
「イギリス人ヤな奴」
などなど、むしろワースト候補の言われようだったりするのだ。マジで人気がない。
そんな中、この世には「悪口を聞いたことがない」ところというのも存在し、私もいくつか訪れたこともあるが、たしかに言われるだけの価値はあると思うところ多々だった。
そこで今回も、旅行者間で「打率10割」な地域を紹介してみたい。
海外が初めての人や、まだ行くところが決まってない人は、ここから選べば少なくとも大ハズレはないと思います。
「10割バッター」その4 チェンマイ
バンコクに続くタイ第2の都市で、象ツアーでも有名。
タイはそもそも評判がいい国だが、バンコクはハマる人はハマるけど、その雑然としたところや排気ガスがダメという意見もあって、そういう人はチェンマイに逃げる。
ここは北部にあるおかげか、他の場所よりも比較的涼しく、また大学もあるということで文化レベルも高いため、長期滞在してタイ語やタイ料理なんかを学ぶ人もいる。
これといった、すごい見どころはないかもしれないが、のんびりするにはちょうどいい街。
食事はもち米がとっても美味で、プレーンでもイケるほど。私もなんとなく4日ほどいたものだったが、休みがもっとあれば、まだまだ居たかったほど。
チェンマイ大学で先生をしていた、「辺境作家」高野秀行さんもおススメ。象もカワイイ。
「10割バッター」その5 ポルトガル
ヨーロッパといえば、サッカーのイメージもあって一時期はイタリアやスペインが人気を集めたが、同じ南欧のポルトガルは知られてないけど、いいところ。
派手さはないけど、おだやかなポルトガル人の気質がシャイな日本人に合うのではないか。食事も魚を中心にクセがなく、われわれにも食べやすい味。
適度にさびれた感じの街並みが、なんとなくノスタルジックな郷愁を誘う。「ユーラシア最西端」の岬なんかもあって、たそがれるにはちょうどいいところ。
激賞する人もいないけど、行った人はなんとなーくいい印象を持つフワッとした国。うるさ型の旅行作家、前川健一さんもお気に入り。
南国なのに、なぜか少し曇天が似合う。太陽の国スペインもいいけど、まったりしたい人はポルトガルも悪くないですよ。
「10割バッター」その6 ハワイ
あまりに当たり前で、つい軽視してしまいがちだが、ハワイはまったくといっていいほど悪口を聞かないところだ。
過ごしやすい(行ったことないけど絶対そうでしょう)うえに、訪れた人がみな「ほとんど国内旅行」というくらいに気軽に行けるというのだ。
そのストレスの無さが圧倒的な魅力だという。特にハワイは沢木耕太郎さんすら、
「すばらしいところ」
「あんな海外を感じさせない海外はハワイを置いてない」
そう絶賛するほど。『深夜特急』にまで、そう言わせるのだからガチです。
ちなみに耕太郎によると理想の過ごし方は、
朝はパンケーキ食べて、午前中は図書館で読書して昼寝して、昼はロコモコ丼みたいなぶっかけ飯。
そのあと少し泳いで、買い物して、アパートでビールを飲みながら夕食の下ごしらえをして、軽くランニング。
帰って大リーグかアメフトを見ながら晩飯食べて、そのあとバーで一杯やって寝る
順番はうろ覚えだが、だいたいこんな感じ。
行ったことないけど、なんてボンクラで楽しそうな過ごし方なんだ。
嗚呼、今すぐハワイに亡命したい!
(続く)
■おまけ
(チェンマイの激辛料理体験記はこちら)
(ゲイ大国タイで出会った同性カップルとのお話はこちら)