大森庸雄『ロック豪快伝説』がスゴすぎる! エアロスミス スティーブン・タイラー編

2016年07月04日 | 音楽

 『ロック豪快伝説』という本がおもしろい。

 音楽ライター大森庸雄さんの書いた本であるが、これを読むとビートルズローリングストーンズといった有名ロックバンドのメンバーたちが、いかにハチャメチャでクレイジーなヤツらであったかよくわかる。

 ミックジャガーキースムーンジミヘンドリックス

 音楽に興味のない人でも名前くらいは知っているであろう彼らスーパースター

 これがステージ上でも私生活でも、頭がぶっ飛んでるというか、どいつもこいつも犯罪者ばかり。

 たとえばエアロスミス

 スティーブンタイラーをボーカルに据えた、デビューしてもう40年近くになる伝説のロックバンド。

 ちなみにスティーブンのさんは女優のリブタイラーだ。

 1970年代、当時のロックバンドの間では、



 「ツアー先のホテルの窓からテレビを投げ捨てる」



 という行為が流行っていた。

 「なんで、そんなもん流行ってるねん」という気もするが、まあとにかく流行っていた。

 エアロスミスもその例にもれず、テレビをぼっかんぼっかん派手に投げ捨てていたそうである。危ないがな。これぞまさしくプラズマ・ダイブ。

 当時エアロスミスの裏方をやっていた、ディックハンセンはこう語った。


 「でっかいテレビに長い延長コードをつないで画面をつけたままバルコニーから落とすのが好きだった。そうするとホテルのプールに飛びこんだとき、きれいに爆発するんだ」


 「好きだった」じゃないだろ、止めろよ!

 それにしても

 

 「きれいに爆発するんだ」

 

 というフレーズは秀逸だ。

 自分たちの奇行にまるで自覚がなく、実にすがすがしい。なんだか文学的高貴ささえ、ただよっている気がするではないか。

 ちなみに、延長コードをつけて投げるというのはエアロスミスのオリジナルだったよう。

 ツアーには特注の超ロングコードを機材と一緒に持ち歩いていたというのだから、粋というかアホというか、とにかく愉快な人たちである。

 また彼らの破壊はテレビだけにとどまらない。77年全米ツアーではチェーンソーを持ち歩いてまわったらしい。

 なぜチェーンソー

 楽器と間違えて持ってきて「こりゃまたうっかりさん」というわけではないだろう、である。

 そのチェーンソーでエアロスミスのメンバーは大暴れ

 ギタリストジョーペリーがモーテルのアームチェアまっぷたつにすると、ワインひとケース(!)飲み尽くしたスティーブンは部屋にあった家具を、野犬よろしくうおんうおんとうなる「獲物」で次々に切り裂いていったという。

 なんでそんなことするんだ? スティーブンは滝本竜彦さんのファンなのだろうか。ジョーはそのままセーラー服姿美少女とともに、風車を回しながら戦うように。

 さらにイカれているのがこれ。

 ある日、スティーブンの奥さんがリビングでレッドツェッペリンを聴いていた。

 電話をしていたスティーブンが「音を下げてくれ」と頼んだが、無視したのか聞こえなかったのか、音は下がらない。

 するとスティーブンはつかつかとアンプに歩みより、ワルサーPPKをかまえて、いきなり5連射

 アンプが粉々になったことを確認すると、平然と電話を続けたという。

 まるで『モンティパイソン』の1シーンだ。てか、奥さんに当たったらどうすんのよ。

 こんな「豪快」すぎる面々が、目白押しの本書。音楽を志し、ロックに生きたい若者は必読であろう。

 でも、マネしたら炎上どころか絶対に捕まるから、よい子は読むだけにしておくようにネ。



 (続く→こちら




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