前回(→こちら)に続いて、大森庸雄『ロック豪快伝説』を読む。
世界のロックスターたちの破天荒すぎるエピソードを紹介した本書によれば、エアロスミスは、
「テレビを窓から投げ捨てる」
「音がうるさいからアンプを銃でぶっこわす」
といった滅茶苦茶なことを、ふだんからやっていたらしい。
そんな彼らはどんなレコーディングをしているのかというと、これもまたとんでもない話が満載なのであった。
『ドロー・ザ・ライン』というアルバムの、レコーディングしたときのこと。メンバーはアーモンクという町にある、大邸宅に集まって仕事をしていた。
プロデューサーはその時のことを、こうコメントしたそうだ。
「あのレコード一枚に半年の時間と50万ドルが費やされた」
さすがは伝説のロックバンドである。豪快だ。
さぞや充実したレコーディングだったのだろうと思いきや、彼らがアーモンクでやっていたのはなんと「水鉄砲遊び」。
館の明かりをすべて消して、暗闇の中サバイバル・ゲームでキャッキャいってたのだとか。夏休みの子供か。
いやいや、彼らはただの子供ではない。大人の財力を持った子供、それもハンパじゃない額のマネーを持ったコドモオトナである。
水鉄砲に飽きたメンバーに、ギタリストのジョー・ペリーが新しい鉄砲を持ってきた。
今度のは水ではない。本物のトンプソン・サブマシンガンである。
さらに20丁以上の銃を持ちこんで、連日連夜レコーディングをよそに撃ちまくっていたそうだ。
シンバルをショットガンで、バラバラにするのが楽しかったそうである。そうでっか。
これで目覚めたのか、ジョーはレコーディング終了後も、家で銃をバンバン撃って楽しんでいたとか。
彼の家はスタッフから武器庫と呼ばれていたそうな。ミリタリーマニア垂涎の物件だ、ってそういう問題ではないか。
音楽の世界ではマイケル・ジャクソンがその奇行や「ネバーランド」についてイジられがちだが、この本を読むとその程度のことは、
「ちょっとした、あるあるネタ」
くらいに思えるからオソロシイ。
『アマデウス』のモーツァルトなんて、コイツらとくらべたら全然普通じゃん!
(続く→こちら)