前回の続き。
オランダ語とドイツ語とは親戚というか、兄弟のような言語で、語彙や「名詞の性」など多くの共通点がある。
探せばまだまだ出てきて、こんなのも
「活用が似ている」
オランダ語には「格変化」なるものが存在する。
英語学習者には難解に感じる「不可思議な冠詞や動詞の活用」はドイツ語学習者にはお手の物。
私など「格変化萌え」なところがあって、それが複雑なほど「しんどくて笑ってまう」というマゾの喜びを感じてしまう(暗記できるとは言ってない)。
たとえば、英語の「speak」は三人称単数のときのみ「speaks」になるが、これがドイツ語の「sprechen」だと、
ich spreche(わたしは話す)
du sprichst(君は話す)
er/sie/es spricht(彼/彼女/それ/は話す)
wir sprechen(わたしたちは話す)
ihr sprecht(彼ら/彼女ら/それら/は話す)
sie sprechen(あなたは話す)
主語ごとに七変化する。
一方オランダ語「spreken」だと、
ik spreek(わたしは話す)
jij spreekt(君は話す)
hij/zij/het spreekt(彼/彼女/それ/は話す)
wij spreken(わたしたちは話す)
jullie spreken(彼ら/彼女ら/それら/は話す)
zij spreken(あなたは話す)
やっぱり似ている。微妙に違うが、「生き別れの兄弟」を疑うには十分の近さだ。
他にも
「動詞は原則、文の2番目」
「分離動詞」
「再帰動詞」
「助動詞の使用による動詞の文末移動」
などなど、「同じやーん」なルールは多々。
Ik maak de deur op. (蘭)
Ich mache die Tür auf.(独)
(私はドアを開けます。)
それぞれ「opmaken」「aufmachen」が分離していて分離動詞。
ムリヤリ英語にすると、「atlook」「forwait」みたいな単語が存在するみたいな感じ。
Ik ga me vanavond voorbereiden op de toets. (蘭)
Ich werde mich heute Abend auf den Test vorbereiten.(独)
(わたしは今夜テストの準備をするつもりだ)
「me」「mich」がそれぞれ英語で言う「myself」のような働きをする。
これが再帰動詞で、「私は私自身に準備させる」みたな感じかな。
Ik kan Engels spreken.(蘭)
Ich kann Englisch sprechen(独)
(私は英語が話せます)
助動詞「kunnen(können)」によって動詞「spreken(sprechen)」が文末に移動。
英語では「I can speak English」だから、動詞の位置が違うのがお分かりであろう。
こういうのを知っておくと、「言語の部屋」でやってた「ドイツ語からの直訳で英語をしゃべる奴」というコントのおもしろさがわかる。
てかこれ、ドイツ語やってたヤツはみんな一回はやるよね(笑)。
こういう共通点があるおかげで、オランダ語とドイツ語はカンのいい人なら、どっちかできれば、どっちもできそうに見えるほど。
私レベルでも簡単な文章なら、半分くらいは、うっすら読めるんじゃないかなあ。
これはいいぞ、楽勝やん!
東京外大の先生はオランダ語の授業を履修したドイツ語学習者に
「楽しようと思ってナメやがって」
怒るそうだが、そらそうなりますわ。
少なくともギリシャ語とかヒンディー語よりも20倍くらい楽ですわ! ざまーみろ!
と意気込んだオランダ学習ではあるが、やってみるいくつか障害もあった。
それは、あまりにも似すぎていて「飽きる」。
これ、スペイン語のあとにポルトガル語やったときも同じだったけど、似すぎている言語は入りは楽だけど、続けるのは意外としんどい。
そもそも「学ぶ」ことの最大の楽しみは「新しいことを知る」ことで好奇心などを刺激されることである。
そこを「兄弟」でこられると、さめるというか、
「チャーハンの次の日が焼き飯」
みたいな気分になるのだ。
やはりそこは変化が欲しいというか、清楚な女の子と付き合ってたら、たまには奔放な子と遊んでみたい。
まあ、オレは清楚ビッチが好きなんだけどね、て、そんなことはどうでもいいけど、とにかく「またか」という気にさせられるのだ。
イージーモードと思いきや、まさかの伏兵が待っていたオランダ語。
あと、オランダ語って世界一やりがいがない言語という説もある。
オランダ人てば世界一レベルで英語がうまいから、オランダ語自体、あんまし必要とされないと。
なんたって留学生にすら、
「大学の授業も学生の日常会話も英語で済ませられるから、オランダ語いらないッス」
なんて言われる始末。
テンションさがるなー。まあ、私は英語がうまいわけでもないから、別に関係ないか。