1月 某日
ある正月の日記。
10時起床。私は夜型人間なので、連休の起床時間としては早い方。
休みの日のひそかな楽しみは朝風呂で、これをやるかどうかで1日の動きが変わるほど。特に寝不足のときは天地の差が出る。
そういえば、昔は「できるサラリーマン」みたいな雑誌の特集でよく
「出勤前にジムで軽く汗を流す」
なんて恐ろしい記述があったそうけど、いつ起きてるの? ようそれで、仕事できるなあ。
もうひとつそういえば、バブル時代のころアメリカではショー・コスギ(ケイン・コスギのパパ)の影響で「忍者道場」というのが流行っていて、
「キミも忍者になろう! 日本人があの過酷な満員電車と残業をクリアできるのは、忍者の修業をしているからだ!」
という広告を打っていたそうだ。
朝食は紅茶、豆乳、バナナ、くるみパン、ヨーグルト。
BGMにサンタラの『バニラ』。エマーソン・レイク・アンド・パーマー『恐怖の頭脳改革』。『ロマンシング・サガ』のサントラなど。
午前中は映画を観る。今日はフランス・ベルギー映画『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』。
世界的ベストセラーを翻訳するため、世界各国から翻訳家が集められ、地下に隔離されるという設定がムチャだが、これが実話だというからすごい。
ケレン味たっぷりなストーリーなので、あまり期待してなかったけど、ミステリ的な仕掛けが各所に散りばめられ、なかなか楽しかった。
でも、ダン・ブラウンの小説(実際に翻訳家が缶詰にされた本)に、そこまでの価値があるとも思えないけどなあ。
なんとなくベランダをそうじして、昼食。レバニラ炒めを作って、パック飯とインスタントみそ汁。
午後からはコーヒーを飲みながら、ひたすら読書。
私は本さえあれば無限に時間をつぶせる人間なので、人生で退屈というのを味わったことがない。
今日の一冊はデイビッド・ハルバースタム『ザ・コールデスト・ウィンター 朝鮮戦争』。
日本史上では結構重要な事件なのに、いまいちマイナーなイメージのこの戦争。
これが当事者だったアメリカもそうだったらしく、その「忘れられた戦争」を
『ベスト&ブライテスト』
『さらばヤンキース』
など出す本すべて名著というデイビッドが、骨太な筆で描いて行く。
メチャクチャにおもしろくて、まりまり読みまくる。上下二巻で内容的にもヘビー級だけど、そう感じさせないリーダビリティはさすが。
夕方は買い物がてら、少し散歩。米朝師匠の落語を聴きながら、近所を1時間ほど歩く。
今でもずーっと「同じ噺」をやり続ける今の落語家に、どういうレゾンデートルがあるのかなとか考える。
夕食は胚芽パンにハム、チーズ、ツナなど適当にはさんでシンプル・サンドイッチ。カツオとキャベツのサラダ。コーンスープ。
アメリカの小説などに、よく
「パンにクリームチーズと、ピーナッツバターにグレープジェリーをはさんだサンドイッチ」
なんて出てきて、すんげえおいしくなさそうと思うんだけど、実際のところどうなんだろう。試してみたいけど、勇気がない。
食後はパソコンを開く。お茶しながら、YouTubeやラジオなど。
最近は語学系YouTubeにハマっており、中国語の李姉妹や、英語の発音をあつかっただいじろーさんがお気に入り。
もともと語学エッセイなどが大好きで、学生時代にはドイツ文学を専攻してふつうにガチでドイツ語もやってたけど、これで妙に語学熱が再燃。
それでもって、なぜかフランス語をはじめるという暴挙に。スペイン語と相当迷ったけど、ドイツ語やったら次はフランス語かなあとか、安易な決め手。
といっても、1日15分ほどアプリで遊ぶだけだけど、3か月もやると簡単な平叙文なら読めるようになってきたから、なかなかのものである。
ちなみに、英語コンプレックスがある人は、英語以外の外国語を勉強してみることをオススメします。
それによって、英語っていうのが別に特別でもなんでもなく、
「数ある外国語の中のひとつ」
にすぎないという当たり前のことがわかって、英語という存在が相対化されるから。
要するに、視野が広くなる。これマジで。
寝る前に少し読書。ヒラリー・ウォー『事件当夜は雨』。
「警察小説」ってちょっと苦手なんだけど(『87分署』シリーズとかもほとんど読んでない)、食わず嫌いはよくないので手に取ってみると、これがおもしろい。
すごい地味な内容なんだけど、それが静かにサスペンスフルで引きこまれる。
老後はこういう古典のミステリや、SFをダラダラ読みながら過ごせたら最高だなあとか夢想しながら、そのまま眠りに落ちる。