前回(→こちら)の続き。
Kスイ星の地球接近、悪の宇宙人ガロガが送りこんできた恐獣ガンダーギラスという、ふたつの危機を救うためにあらわれた我らがヒーロー、ゾーンファイター。
だが、ファイターは早くも進退窮まっていた。
なぜなら、卑劣なガロガはガンダーギラスの体内に、PS73という超強力爆弾を仕掛けているのだ。
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正義のヒーロー、ゾーンファイター
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恐獣ガンダーギラス
うかつに攻撃すると、東京は壊滅してしまう。
そこで、衝撃をあたえないよう敵を葬り去るため、ファイターが選んだ起死回生の策というのが、
「ガンダーギラス、ジャンケンで勝負だ!」
なんと、ジャンケンによる決闘というものだった。
なんでやー! と思わずテレビを両手で持ってゆっさゆっさ揺さぶりたくなるが、ゾーンファイターとガンダーギラスは気合いを入れて位置につく。
やる気満々である。
ちなみに、このときナレーションを担当していたのは小林清志さん。
そう、あの名作アニメ『ルパン三世』で、次元大介の声を担当している俳優さんだ。
あの低音の超シブい声で、まさかのジャンケーンゲームの開始宣言。
小林さんと言えば、かつてインタビューで「次元についての思い出をお願いします」と訊かれて、
「いやあ、わたしもたくさんの役をやってきましたからねえ。ファンの方には申し訳ないんですが、あまりおぼえてないんです(苦笑)」
困ったように返答されていたが、果たしてこの世界一マヌケな地球の危機についてナレーションしたことは、おぼえておられるだろうか。
で、ともかくも、ジャンケンである。ファイターが勝てばガンダーギラスはおとなしく宇宙へ帰る。
では、はじめよう、じゃーんけーん、ポン!
ちゃんと声に出して進行するゾーンファイター。
なんとも能天気な図であるが、かかっているのは地球の存亡だ。運命の一戦はゾーンファイターが見事に勝利。
くやしがるガンダーギラスに対して、
「やった、やった!」
声を上げ、飛び上がってよろこぶゾーンファイター。
無邪気というか能天気というか、まあ地球を救ったんだから、はしゃぐ気持ちはわからなくもないが、ヒーローたるものそこまで浮かれていいのか。
そんなファイターの開けっぴろげな様子にイラッときたらしく、ガンダーギラスはおもしろくなさそうにそっぽを向くき、宇宙に帰ることを拒否しはじめる。
おいおい約束がちがうぞ。負けたんだから、男らしく身を引いたらどうなのか。
憤りをかくせないファイターだが、元がジャンケンである。
今さらながら説得力がないというか、そりゃガンダーギラスも釈然としないところはあるだろう。
なんで、ジャンケンやねんと。まじめにやる気があるのか。地球のピンチを前に、なぜかガンダーギラスに肩入れしたくなる私。
なんとも味のある展開で、ここは会場の大爆笑を期待したところだが、意外にも他の面々は無言だ。
きっと、あまりのドラマティックな展開に感動し、言葉を失っているのだろう。
せっかく勝利したのに、これでは意味がないではないか! 困惑したゾーンファイターは、次の作戦を練る。
そこでファイターは後ろからツボを突き刺してガンダーギラスを眠らせようとしたり、電信柱を引っこ抜いて、それを剣代わりにフェンシングをはじめるも(なんで?)、やはりこれといった成果は見られない。
そこで、ファイターはまたもや妙案を思いつく。ガンダーギラス相手にビシッと指を突きつけると、
「ガンダーギラス、今度は輪投げで勝負だ!」
待てーい! という、こちらのつっこみもなんのその。またしても次元大介のシブい声が、
「ファイターが提案したのは、地球の運命をかけた輪投げの3回戦勝負である!」
人の話聞けよ……というむなしいつぶやきがもれる中、ファイターとガンダーギラスは協力しあって輪投げの用意をする。
またしても、やる気満々である。
輪投げ。なぜそこでそんなものが出てくるのか。しかも3回勝負。
だいたい今にもKスイ星が地球に近づいて危ないんやろ? 時間ないんやし、1回でとっとと終わらせろよ!
クレームのひとつも入れたくなるわけだが、当のゾーンファイターは平気の平座。
ガンダーギラスと二人で仲良く(!)対戦用の輪をこしらえて、棒を地面にたてている。
その様は実に楽しそうで、はっきりいって緊迫感はゼロだ。小学校の昼休みか!
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輪投げの準備中
こうして、ますますマヌケな方向へと加速していくゾーンファイター。
果たして、地球の未来をかけた輪投げ対決はどのような結末をむかえるのか。
「知らんがな」という言葉をグッと飲みこんで、物語は続いていくのだ。
(続く→こちら)