読書日和

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「珈琲店タレーランの事件簿2 彼女はカフェオレの夢を見る」岡崎琢磨

2013-05-05 22:32:08 | 小説
今回ご紹介するのは「珈琲店タレーランの事件簿2 彼女はカフェオレの夢を見る」(著:岡崎琢磨)です。

-----内容-----
京都の街にひっそりと佇む珈琲店《タレーラン》に、頭脳明晰な女性バリスタ・切間美星の妹、美空が夏季休暇を利用してやってきた。
外見も性格も正反対の美星と美空は、常連客のアオヤマとともに、タレーランに持ち込まれる”日常の謎”を解決していく。
人に会いに来たと言っていた美空だったが、様子がおかしい、と美星が言い出して……。
姉妹の幼い頃の秘密が、大事件を引き起こす!

-----感想-----
※「珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を」のレビューをご覧になる方はこちらをどうぞ。

というわけで、「珈琲店タレーランの事件簿」の続編です
前作のレビューで「美星さんと青山氏、この二人は名コンビだと思うし、出来たら続編を読みたいなと思います」と書いていたのですが、それが現実となって嬉しいです

良いコーヒーとは、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、そして恋のように甘い―そんな格言を残したフランスの伯爵の名を店名にした「タレーラン」。
青山氏が初めてタレーランを訪れてから一年以上が経過したことが冒頭で分かります。
今回の物語は8月のお盆を過ぎた辺りから始まります

良質なコーヒー豆の生産には、いくつもの気候ないし地理的な条件が伴い、これらを満たすのが南北両回帰線にはさまれた熱帯・亜熱帯地方であり、コーヒー豆産出国の大半がここに集中していて、そのエリアのことを「コーヒーベルト」と言うらしいです。
日本では沖縄や小笠原がほぼ北限に位置し、国内でも数少ないコーヒー豆の産地となっているとのこと。
これらコーヒーに関するうん蓄を青山氏がよく語っていました(笑)

「バリスタ」とは珈琲を淹れる専門の職人のこと。
タレーランのバリスタ・切間美星は推理をする時、ハンドミルでコーヒー豆をコリコリコリと挽きます。
そして謎が解けると「その謎、たいへんよく挽けました」の決め台詞とともに、コーヒー挽きも完成。
ちなみに今作でもアオヤマ氏の的外れな推理への辛辣な言葉は健在でした。
「申し訳ありません、アオヤマさん。でも私、アオヤマさんのいまのお話、全然違うと思います
この二人、前作の後半では結構仲良くなっていたのに、相変わらず辛辣な批評は健在なのかと思いました(笑)

ちなみにトマトケチャップで味付けをしたスパゲッティ、いわゆるナポリタンのことを、関西では《イタリアン》と呼ぶことがあるというのには驚きました。
同じ食べ物でも地域によって呼び方が変わることはありますが、ナポリタンはナポリタンだと思っていたので、イタリアンは予想外でしたね。

今作では美星バリスタの妹・美空が登場。
この妹が美星とは全然性格が違っていてかなりウケました(笑)
そこなしに明るく元気でハチャメチャな感じで、そのハチャメチャぶりは普段冷静な美星さんが激怒してキャラが崩壊するほどでした
しかしこの美空、物語が進んでいくにつれ、怪しい行動が見られるようになります。
姉の美星にも詳しい事情を話してくれず、訝っていました。
アオヤマから見れば仲が良いのか悪いのかよく分からない姉妹という印象で、戸惑ったりもしていましたが。。。
この妹が「ある勘違い」から、大事件に巻き込まれてしまいます。
中盤から後半にかけては一気に物語が緊迫感に包まれていきました。
この辺り、さすがにミステリー小説で、予想していたものとは違うまさかの展開に驚かされました。
美空の突っ走る性格が悪いのですが、姉の美星のほうはものすごく必死に妹を助けようとしていて、何となくギクシャクしている印象はあってもやはり姉妹なのだと思いました。
切間美星、美空姉妹の予想外の事実が明らかになったり、幼少期の過去が明らかになったりと、今回は新たな事実が色々と明らかになりました。
この感じなら次回作もありそうなので、ぜひ楽しみに待ちたいと思います


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