今回ご紹介するのは「きょうのできごと」(著:柴崎友香)です。
-----内容-----
ある晩、友人の引っ越し祝いに集まった数人の男女。
彼らがその日経験した小さな出会い、せつない思い。
5つの視点で描かれた小さな惑星の小さな物語。
書下ろし「きょうのできごとの、つづきのできごと」収録。
行定監督映画化!
-----感想-----
「フルタイムライフ」「また会う日まで」に続き、柴崎友香さんの作品を読むのは三冊目です。
この作品はデビュー作ということで興味を持って読んでみました。
物語は以下の6編で構成されています。
「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」3月25日 午前3時
「ハニー・フラッシュ」3月24日 午後6時
「オオワニカワアカガメ」3月25日午前4時
「十年後の動物園」3月24日 午後1時
「途中で」3月25日 午前3時
きょうのできごとのつづきのできごと
3月24日から25日にかけて京都に引っ越した友人の引っ越し祝いに集まった7人の男女。
盛大な飲み会になり、真夜中まで続いていました
章ごとに、それぞれ別の人物の視点で物語が描かれています。
最初の章では冒頭から車の中での軽い会話が続いていました。
先に読んだ二作と同じくこの作品も登場人物は大阪弁でした。
最初の章は「けいと」という女の子が語り手です。
助手席で寝ていて、目が覚めたところから物語は始まります。
運転しているのは中澤という男で、後部座席にはけいとの友達で中沢の彼女の真紀がシートに横になって寝ています。
友人宅での飲み会からの帰り道、時刻は午前3時。
けいとと中沢の会話は小学校からの長い友達だけあって軽妙で、他愛もない会話を楽しく読ませてもらいました。
二番目の章では、最初の章で後部座席で寝ていた真紀が語り手になります。
時刻は3月24日の6時へと遡ります。
この章では、三人が行ったのは「正道くん」という人の家だったということが分かります。
飲み会の詳細も分かり、けいとと真紀は随分とたくさん飲んでいました


そしてけいとはこの飲み会で「かわちくん」という正道の後輩が好きになったらしく、勢い込んで話しかけていました。
真紀のほうはなぜかお風呂場で西山という男の散髪をしてあげていました。
これが酷い仕上がりで、この時は西山が酔っ払って判断力がなくなっていたから良かったものの、後々騒ぎになります。
三番目の章では中沢が語り手。
帰り道、車を運転している中沢に正道から電話がかかってきました。
真紀に酷い髪型にされた西山が、真紀たち三人が帰った後に少し酔いが醒めて髪型の酷さに気づき、やけ気味に再び酒を飲んで酔いが回り、暴れ出していました
同じく真紀が散髪をした「かわちくん」のほうは比較的マシな髪型に仕上がっていたため(かわちくんはルックスも良いらしいです)、それに嫉妬した西山はかわちくんに絡み、完全にタチの悪い酔っ払いになっていました。
四番目の章ではかわちくんが語り手。
時系列は3月24日の午後1時。
かわちくんは付き合っている彼女とデートをしていました。
しかしかわちくん、「正道さんの引っ越し記念飲み会があるから」と言ってデートを早めに切り上げようとして彼女を怒らせてしまいます。
飲み会に行くのを遅くすれば済むのにかわちくんにはそれができないらしく、そのわりにデートのほうは早く切り上げようとしていて、その態度に彼女さんは怒っていました。
飲み会のほうにはそんなに気を使うのに、私とのデートには全然気を使わないのか、というわけです。
正道の家での飲み会ではけいとがかわちくんに好印象を持って好きになっていましたが、この話ではかわちくんの意外な一面が印象的でした。
五番目の章では正道が語り手。
時系列は3月25日午前3時。
けいと、真紀、中沢の三人が帰って、男四人が正道の家に残っている時の物語です。
西山が酔っ払って暴れている様子が詳しく描かれています。
西山は酔っ払うと他の人に携帯で電話をかけさせたりするらしく、これは私も酔っ払った先輩がそういう行動をしているのを見たことがあるので様子がよく分かりました。
やはりお酒は人に迷惑がかからない範囲で飲むようにすべきだと思います。
最後の「きょうのできごとのつづきのできごと」は特殊な物語でした。
物語は二つに分かれていて、二つ目のほうの語り手は柴崎友香さん本人で、行定勲監督による「きょうのできごと」の映画の撮影現場を見に来ていました。
そしてこの話の中で柴崎友香さん本人が「飲み会に集まった大学生たちのなんでもない1日の話」と言っているように、この作品は大学生たちのなんでもない1日を題材にしています。
そこを、飲み会に集まったメンバーそれぞれの視点で時系列も少しずつずれて構成することで、面白い物語になっていました。
ある時同じ場所に集まったメンバーにもその前後にはそれぞれのエピソードがあるというのがとても自然に上手く表現されていると思いました
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-----内容-----
ある晩、友人の引っ越し祝いに集まった数人の男女。
彼らがその日経験した小さな出会い、せつない思い。
5つの視点で描かれた小さな惑星の小さな物語。
書下ろし「きょうのできごとの、つづきのできごと」収録。
行定監督映画化!
-----感想-----
「フルタイムライフ」「また会う日まで」に続き、柴崎友香さんの作品を読むのは三冊目です。
この作品はデビュー作ということで興味を持って読んでみました。
物語は以下の6編で構成されています。
「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」3月25日 午前3時
「ハニー・フラッシュ」3月24日 午後6時
「オオワニカワアカガメ」3月25日午前4時
「十年後の動物園」3月24日 午後1時
「途中で」3月25日 午前3時
きょうのできごとのつづきのできごと
3月24日から25日にかけて京都に引っ越した友人の引っ越し祝いに集まった7人の男女。
盛大な飲み会になり、真夜中まで続いていました

章ごとに、それぞれ別の人物の視点で物語が描かれています。
最初の章では冒頭から車の中での軽い会話が続いていました。
先に読んだ二作と同じくこの作品も登場人物は大阪弁でした。
最初の章は「けいと」という女の子が語り手です。
助手席で寝ていて、目が覚めたところから物語は始まります。
運転しているのは中澤という男で、後部座席にはけいとの友達で中沢の彼女の真紀がシートに横になって寝ています。
友人宅での飲み会からの帰り道、時刻は午前3時。
けいとと中沢の会話は小学校からの長い友達だけあって軽妙で、他愛もない会話を楽しく読ませてもらいました。
二番目の章では、最初の章で後部座席で寝ていた真紀が語り手になります。
時刻は3月24日の6時へと遡ります。
この章では、三人が行ったのは「正道くん」という人の家だったということが分かります。
飲み会の詳細も分かり、けいとと真紀は随分とたくさん飲んでいました



そしてけいとはこの飲み会で「かわちくん」という正道の後輩が好きになったらしく、勢い込んで話しかけていました。
真紀のほうはなぜかお風呂場で西山という男の散髪をしてあげていました。
これが酷い仕上がりで、この時は西山が酔っ払って判断力がなくなっていたから良かったものの、後々騒ぎになります。
三番目の章では中沢が語り手。
帰り道、車を運転している中沢に正道から電話がかかってきました。
真紀に酷い髪型にされた西山が、真紀たち三人が帰った後に少し酔いが醒めて髪型の酷さに気づき、やけ気味に再び酒を飲んで酔いが回り、暴れ出していました

同じく真紀が散髪をした「かわちくん」のほうは比較的マシな髪型に仕上がっていたため(かわちくんはルックスも良いらしいです)、それに嫉妬した西山はかわちくんに絡み、完全にタチの悪い酔っ払いになっていました。
四番目の章ではかわちくんが語り手。
時系列は3月24日の午後1時。
かわちくんは付き合っている彼女とデートをしていました。
しかしかわちくん、「正道さんの引っ越し記念飲み会があるから」と言ってデートを早めに切り上げようとして彼女を怒らせてしまいます。
飲み会に行くのを遅くすれば済むのにかわちくんにはそれができないらしく、そのわりにデートのほうは早く切り上げようとしていて、その態度に彼女さんは怒っていました。
飲み会のほうにはそんなに気を使うのに、私とのデートには全然気を使わないのか、というわけです。
正道の家での飲み会ではけいとがかわちくんに好印象を持って好きになっていましたが、この話ではかわちくんの意外な一面が印象的でした。
五番目の章では正道が語り手。
時系列は3月25日午前3時。
けいと、真紀、中沢の三人が帰って、男四人が正道の家に残っている時の物語です。
西山が酔っ払って暴れている様子が詳しく描かれています。
西山は酔っ払うと他の人に携帯で電話をかけさせたりするらしく、これは私も酔っ払った先輩がそういう行動をしているのを見たことがあるので様子がよく分かりました。
やはりお酒は人に迷惑がかからない範囲で飲むようにすべきだと思います。
最後の「きょうのできごとのつづきのできごと」は特殊な物語でした。
物語は二つに分かれていて、二つ目のほうの語り手は柴崎友香さん本人で、行定勲監督による「きょうのできごと」の映画の撮影現場を見に来ていました。
そしてこの話の中で柴崎友香さん本人が「飲み会に集まった大学生たちのなんでもない1日の話」と言っているように、この作品は大学生たちのなんでもない1日を題材にしています。
そこを、飲み会に集まったメンバーそれぞれの視点で時系列も少しずつずれて構成することで、面白い物語になっていました。
ある時同じ場所に集まったメンバーにもその前後にはそれぞれのエピソードがあるというのがとても自然に上手く表現されていると思いました

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