今回ご紹介するのは「ビリジアン」(著:柴崎友香)です。
-----内容-----
どこにでも行ける。
その意志さえあれば──。
黄色い日、白い日、赤い日。
映画、ロック、火花、そして街。
10歳から19歳まで、誰かにいつか存在した、ある瞬間。
第32回野間文芸新人賞受賞後初の小説作品、新たなる代表作の誕生!
-----感想-----
主人公は山田解(かい)。
過去を振り返る形で、10歳から19歳までの山田解の日々が断片的に、時系列も行ったり来たりを繰り返しながら描かれています。
どの物語も10ページ少々と短く、それが20編あります。
一番最初の「黄色の日」は、私も何度か見たことがあります。
空が黄色がかって見える日で、これは中国から飛んでくる「黄砂」が原因です。
この時の山田解は小学五年生で、黄砂が原因とは分かっていませんでした。
私も小学五年生の頃はまだ分かっていなかったと思います。
この作品では、断片的に語られていく章ごとに何人もの人物が登場します。
ピーター・ジャクソンさんなど、外国人も何人も登場します。
時系列もバラバラに語られていることから、もしかして一度登場した人物が後でまた出てくるのかなと思いました。
そして実際に再登場してきて、やはりそうかと思いました。
「鳩は首と足の筋肉がつながっていて、首を動かさずに歩くことはできない」というのは興味深かったです。
これは知りませんでした。
たしかに鳩が歩いている姿を思い浮かべてみると、首が常に動いているなと思います。
一度17歳の時まで行って、また10歳の時の物語に戻ってくることがありました。
そこには冒頭の「黄色の日」に登場した西山先生が再登場していて、やはり断片的な物語が続くから再登場が頻繁にあるなと思いました。
また、何となく再登場しそうな人物は分かるものがありました。
解とそれなりによく話し、解が愛称で語っている人物は再登場する確率が高いです。
反対に「○○さん」という呼び方の場合はあまり再登場はしないです。
解の中学校時代の物語に出てくる「愛子」「みなりん」「ぶっち」などはわりとよく再登場していました。
高校一年生の時の物語で、美空ひばりが亡くなった日の物語がありました。
なのでこの時の時系列は1989年の6月と分かりました。
この時16歳とすると、今は16+25=41歳で、柴崎友香さんの年齢と一致します。
なので柴崎友香さんの人生経験、見てきたものが生かされた物語になっているのかも知れないと思いました。
山田解はぜんそく持ちなのですが、小学五年生の時のある物語で「公害認定」だということが分かりました。
今はあまり聞きませんが、この当時は公害でぜんそくを発症することがあったようです。
小学五年生か六年生かは分かりませんが、11歳の時、解は殴られて鼻血を出していました。
どちらかというとつっけんどんなタイプなので、解のことが気に入らない人がいたようです。
16歳の時の物語で「おぼこい」という言葉が出てきました。
これはどういう意味なのか調べてみたら、関西弁で「無邪気な」や「初々しい」という意味のようです。
静かな物語の中で時折興味を惹くキーワードが出てきたりするのが特徴的です。
物語はすごく淡々とした語り口調で一貫しています。
特に大きなことは起きず、日常が描かれていて、柴崎友香さんらしい雰囲気の作品だと思いました。
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
※図書ランキングはこちらをどうぞ。
-----内容-----
どこにでも行ける。
その意志さえあれば──。
黄色い日、白い日、赤い日。
映画、ロック、火花、そして街。
10歳から19歳まで、誰かにいつか存在した、ある瞬間。
第32回野間文芸新人賞受賞後初の小説作品、新たなる代表作の誕生!
-----感想-----
主人公は山田解(かい)。
過去を振り返る形で、10歳から19歳までの山田解の日々が断片的に、時系列も行ったり来たりを繰り返しながら描かれています。
どの物語も10ページ少々と短く、それが20編あります。
一番最初の「黄色の日」は、私も何度か見たことがあります。
空が黄色がかって見える日で、これは中国から飛んでくる「黄砂」が原因です。
この時の山田解は小学五年生で、黄砂が原因とは分かっていませんでした。
私も小学五年生の頃はまだ分かっていなかったと思います。
この作品では、断片的に語られていく章ごとに何人もの人物が登場します。
ピーター・ジャクソンさんなど、外国人も何人も登場します。
時系列もバラバラに語られていることから、もしかして一度登場した人物が後でまた出てくるのかなと思いました。
そして実際に再登場してきて、やはりそうかと思いました。
「鳩は首と足の筋肉がつながっていて、首を動かさずに歩くことはできない」というのは興味深かったです。
これは知りませんでした。
たしかに鳩が歩いている姿を思い浮かべてみると、首が常に動いているなと思います。
一度17歳の時まで行って、また10歳の時の物語に戻ってくることがありました。
そこには冒頭の「黄色の日」に登場した西山先生が再登場していて、やはり断片的な物語が続くから再登場が頻繁にあるなと思いました。
また、何となく再登場しそうな人物は分かるものがありました。
解とそれなりによく話し、解が愛称で語っている人物は再登場する確率が高いです。
反対に「○○さん」という呼び方の場合はあまり再登場はしないです。
解の中学校時代の物語に出てくる「愛子」「みなりん」「ぶっち」などはわりとよく再登場していました。
高校一年生の時の物語で、美空ひばりが亡くなった日の物語がありました。
なのでこの時の時系列は1989年の6月と分かりました。
この時16歳とすると、今は16+25=41歳で、柴崎友香さんの年齢と一致します。
なので柴崎友香さんの人生経験、見てきたものが生かされた物語になっているのかも知れないと思いました。
山田解はぜんそく持ちなのですが、小学五年生の時のある物語で「公害認定」だということが分かりました。
今はあまり聞きませんが、この当時は公害でぜんそくを発症することがあったようです。
小学五年生か六年生かは分かりませんが、11歳の時、解は殴られて鼻血を出していました。
どちらかというとつっけんどんなタイプなので、解のことが気に入らない人がいたようです。
16歳の時の物語で「おぼこい」という言葉が出てきました。
これはどういう意味なのか調べてみたら、関西弁で「無邪気な」や「初々しい」という意味のようです。
静かな物語の中で時折興味を惹くキーワードが出てきたりするのが特徴的です。
物語はすごく淡々とした語り口調で一貫しています。
特に大きなことは起きず、日常が描かれていて、柴崎友香さんらしい雰囲気の作品だと思いました。
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
※図書ランキングはこちらをどうぞ。