なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

いきなりこんな状態で

2012年02月27日 | Weblog
 70歳半ば女性。肝硬変・肝癌
 下肢の浮腫で内科クリニックを受診した。胸部X線で胸水を認め、心不全として利尿剤の投与を受けて、心エコーの予約をしたそうだが、受診しなかった。浮腫の悪化と息切れで、そのクリニックを再受診したが、外来でみられる状態ではないため、当院循環器科に連絡があり、救急搬入された。胸水と腹水と全身浮腫があり、心嚢液も貯留していたが、心機能は良好だった。
 黄疸・肝機能障害があり、HBs抗原が陽性で、腹部エコーおよび腹部CTで肝右葉に巨大な腫瘤を認めた。肝臓自体の辺縁は凹凸があった。B型肝炎からの肝硬変・肝癌と診断された。門脈腫瘍塞栓もありそうだ。末梢血管が浮腫で見えず、CVラインを挿入して消化器科に入院となった。
 ふだんは病院に行ってなかったそうだ。ここまで進むと治療はむずかしいだろう。胸腹水や浮腫を多少でも軽減させることができるだろうか。
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どこまで治療するか

2012年02月27日 | Weblog
 70歳台半ば女性。筋委縮性側索硬化症・嚥下性肺炎
 土曜日の救急外来に救急搬送されて入院した。神経内科に通院中で、食事摂取できないため胃瘻による経管栄養を受けていた。両側下肺野に浸潤影を認め、嚥下性肺炎の診断で入院した。神経内科のカルテには人工呼吸器は装着しない方針となっていた。
 抗生剤投与で解熱したが、喀痰を自力で排出できないため、頻回の喀痰吸引を要する。はたして治せるかどうかわからない。気管切開をすれば喀痰吸引は容易になるが。
 50歳台であれば、気管切開をして、肺炎が悪化すれば人工呼吸器装着となるのだろうが、70歳台ではどうなのだろう。普通はしないような気がするが、家族が希望すればするのかもしれないし、家族がよほど反対しなければそこまでやる方針の病院もあるのだろう。ふだん患者さんとかかわっていない親戚が、それまでの経緯を無視して無理なことを言い出して、家族が迷い出すこともある。
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