なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

敗血症性ショック・急性腎盂腎炎

2012年02月01日 | Weblog
 80歳女性。敗血症性ショック・急性腎盂腎炎
 もともと認知症があり、神経因性膀胱で尿カテーテル持続留置されていた。3週間前に発熱で救急外来を受診した。尿混濁著明で、肺炎や胆道系感染症はなく、尿路感染症(急性腎盂腎炎)と診断された。血圧は70mmHgと低下していた。ふだんの様子はわからないが、意識レベルが低下していた。腎機能障害・肝機能障害も伴い、多臓器不全を呈していた。
 すぐに入院して、抗生剤・点滴・カテコラミン投与を開始した。家族には助からないかもしれないと伝えた。病棟看護師もその晩のうちにダメかもしれないと思っていたという。
 ところが、3日目には血圧が正常化して、空腹を訴え出した。まだ検査値の異常はそれほど改善していなかったが、入院すぐから空腹を訴える患者さんは助かることが多い。嚥下障害がないのを確認して食事を開始したが、食欲良好。2週間後には、入院時にビックリするような値だった検査値も正常化した。病棟の看護師さんと、「いやあ丈夫なもんだねえ」と言い合った。家族と相談して、数日後に退院予定とした。
 以前、90歳台の女性が両側肺炎でかなりの低酸素血症を呈して入院した。予後不良(助からないだろう)と思われ、食事を誤嚥したら、そのまま死亡するので絶食とした。ところが入院直後からずっと空腹を訴え続け、やむなく食事を出したところ、心配された誤嚥もなく完食した。そして肺炎も約1週間で治癒してしまった。抗生剤が効いたのは間違いないが、生命力にあふれる人であった。
 結論として、「空腹を訴える患者さんは治る」ようだ。
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