昨日、地域の基幹病院呼吸器内科から72歳男性が転院してきた。大抵訳ありの患者さんが多いが、この方も複雑だった。
まず潰瘍性大腸炎で大腸全摘・回腸ろう増設がある。肺癌で右上葉切除術を受けていた。そして今回は喉頭癌・下咽頭癌で放射線治療を受けている。治療したのはいずれも医療センターで、今回は耳鼻咽喉科・放射線科の扱いになる。
放射線療法後に嚥下障害で経口摂取ができなくなり、11月下旬に地域の基幹病院呼吸器内科に転院となった。嚥下訓練をしても嚥下は難しく、なにしろ喀痰が多い。そこで経鼻胃管で経管栄養が開始された。
そこから持っていきようがなくなったのだろう。今週初めに当院に転院の依頼が来た。「どうしますか、胃瘻増設ですか」、と訊くと「う~ん、そうですかねえ」ということだった。廃用症候群になってはいるが、患者さんは歩行できる。
主には胃瘻増設目的での転院となった。転院時の画像は、入院時検査の胸部単純X線1枚だった。なんだか右肺炎があるように見えて、それに胃瘻増設のために胃の位置を確認する必要がある。
昨日午後に、さっそく胸部X線と胸腹部CTを検査した。放射線技師さんから連絡がきて、「先生、気胸です」という。CTを確認すると、まず肺気腫像がある。肺炎を疑った右肺は問題がなく、確かに左気胸だった。
基幹病院の胸部X線(2週間前)を確認すると、左気胸があった。程度としては同じくらいだろう。胸腔ドレーンを挿入する状態ではないので、経過観察となる。
昨日、認知症の高齢者の内視鏡的胃瘻増設があった。実はもう胃瘻増設の患者さんがいて、と消化器科医に都合を訊くと、来週の月曜がいいと言われた。
多種類の癌の既往があるので、食道癌・胃癌はないんでしょうね、とも言われた。たぶん医療センターで術前検査としてしているはずだが、診てみないとわからない。
優秀な消化器科医なので、胃瘻増設時の内視鏡挿入時に早期の食道癌や胃癌をみつけるかもしれない。大腸全摘なので、胃瘻増設時に横行結腸が胃の前に被らないのは助かる。
なんだか今週は気胸にたたられる。ちなみに紹介した呼吸器内科医の奥さんは当院放射線技師。