なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

やはり、できるだけ生きてほしい

2019年12月24日 | Weblog

 今日は、地域の基幹病院脳神経内科から85歳女性が転院してきた。パーキンソン病で大学病院脳神経内科に通院していて、その後は基幹病院の外来に大学病院から出張でくる専門医にかかっていた。

 今回は誤嚥性肺炎で入院して、肺炎は軽快したが、嚥下訓練の結果経口摂取は不可と判断された。転院依頼の連絡がきた時に、経口摂取ができなければ高カロリー輸液ですか、それとも胃瘻造設による経管栄養ですか、と訊いた。今の末梢の点滴(1000ml/日)だけでいいということだった。お看取りでいいということらしいが。

 やせた患者さんで、意識は傾眠傾向と記載されていた通りだった。到底経口摂取は不可能だ。車いすでの座位保持もできないだろう。末梢血管がよく見えて点滴しやすい方で、その点は看護師さんに喜ばれる。

 今日家族と話をすると、できるだけ生きていてほしいということだった。前医では遠慮してあまり先生と話ができなかったと言っていた(おとなしい夫ではある)。胃瘻造設でトラブルが起きそうで、高カロリー輸液で経過をみるしかないと判断された。

 経口摂取できることも期待していたが、実際は入院前から薬の内服もできなくなっていたとので、無理だろう。聴覚言語療法士にみせても、「そもそも覚醒が悪く訓練になりません」と評価されそうだ。覚醒がよくなれば、家族の希望もあるので一度はやらないとまずいかもしれない。

 嚥下訓練継続は肺炎のリスクを伴うこと、肺炎発症時はできる範囲(酸素吸入・抗菌薬など)で治療するが、それでも悪化する場合はDNARという前医と同じ方針で同意していただいた。

 当院としては、何とか形をつけて、療養型病床(のある病院)を目指すことになる。当院の内科は、急性期病院から療養型病床のある病院への中間地点という役割だ。

 

 

 

 

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