木曜日は感染管理の院内勉強会があった。講師は、聖マリアンナ医科大学の感染症学講座の國島広之教授。
國島先生は「クロストリディオイデス・ディフィシル感染症(CDI)診療ガイドライン」作成の委員長なので、一番詳しい先生にお願いしたことになる。國島先生は東北大学に11年いらして(総合診療・感染症講座)、当時当院にも来られたこともある。
國島先生は、DJの赤坂泰彦さんに顔も声も似ていて、明快な講演をされる。感染症の学会でも、國島先生の講演があれば、必ず聴くようにしていた(ランションセミナーなど)。
院内勉強会は医局からの出席はほとんどなく、主に看護師さん(技師さんや事務職員も参加するが)聴くので、話が面白い講師が好ましい。
CDIの世界的な趨勢や、ガイドラインに沿った検査・治療の話をされた。便の性状の表現は、人によって異なるので、Bristol score5以上の下痢検体を提出することが大事(そうでないと検査室で受け取らないと)。Bristol scoreのコピーをラミネート加工にして、各病棟に表示することにした。
CDの検査は抗原(GDH)とトキシン(AとB)を検査する。GDH陰性・トキシン陰性ではCDIは否定的。GDHは感度が高いが、臨床的にCDIが疑わしければ、培養などさらに検査することもある。
GDH陽性・トキシン陽性ではCDIと確診できる。GDH陽性・トキシン陰性では、トキシン産生株かトキシン非産生株か区別できない。その倍はCDトキシン毒素遺伝子検査であるNAAT検査を行う。トキシン産生であればCDIで、トキシン非産生であればCDIは否定的になる。
CDIの治療は、非重症ではメトロニダゾール、重症ではバンコマイシンを使用して、再発ではバンコマイシンあるいはフィダキソマイシンンを使用する。予防薬はプロバイオティクス(ミヤBM)。
GDH陽性・トキシン陰性だと、当院ではCD培養を行って、コロニーのトキシン検査をしていた。結果は約3日で出る。NAAT検査は外注になるが、翌日には結果が来るそうだ。自前で検査器械を購入するのは現状では難しい。フィダキソマイシンは使用したことがないが、CDIは再発しやすく、当院でも時々再発例があるので、今後は使用を考える。