当院の小児科医が、患者さん向けのいわゆる「病院便り」に「解熱剤について」を記載していた。お母さんたちに向けたとってもいい文章だと思う。
「解熱剤について」
1.はじめに 解熱剤の使い方は、医師によって違います。そこで、当科の方針を説明させて頂くことにしました。なお、小児に使用できるのは、アセトアミノフェン(アンヒバ坐薬、カロナール内服薬)と、イブプロフェン(ブルフェン内服薬)の2剤だけです。大人用の解熱剤や総合感冒薬を飲ませるのは厳禁です。脳症になる危険があるからです。
2.解熱剤の役割と限界 熱による”つらさ”を一時的にやわらげるために使用します。「食欲を増し、眠りやすくしてあげたい」という願いが込められています。一方で、「病気そのものを治す力」や「熱性けいれんを防ぐ力」はありません。さらに、解熱剤の効き方と病気の重さとは関係ありません。ですから、「解熱剤を使っても熱が下がりません」と、あわてる必要はないのです。解熱剤に期待し過ぎないことが大事だと思います。
3.外来の現状 教科書には「38.5℃以上で、不快感が強い場合に使う。4時間以上の間隔をあければ安全である」とあります。(イブプロフェンは6時間) 当科では、坐薬は夜1回(大体1~2才)、内服薬は1日2回まで(3才以上)、と少なめにしています。「無理に使うことはありません」と説明することも多いです。教科書にも「脱水を防ぐために水分を十分とることを優先すべきである」と書かれており、解熱剤を強く勧めている訳ではありません。
4.入院の現状 昔、入院中のお子さんの様子を見ているうちに、「解熱剤を使っても使わなくても大差はない」と確信するようになりました。これが、外来で解熱剤をあまり使わなくなった理由です。そして、入院では、解熱剤を20年以上使っていません。新人看護師さんは驚きますが、経験を積むうちに納得してくれるようです。教科書にも、「高熱のために脳が障害をうけるという事実はない」と明記されています。
5.おわりに すべての医師は、治療が必要な病気を見逃さないよう、慎重に発熱の原因を考えます。症状の経過をみることも大事ですので、”再来するタイミング”を医師に聞いておきましょう。「熱を早く下げないと大変なことになる」と心配し、解熱剤を何回も使うのは解決につながりません。
内科では安易に解熱剤を処方している。小児のいる家庭には、解熱剤を1~2個常備してもらうため、発熱のある小児にはけっこう解熱剤を処方していた。使わない時はとっておいてと、富山の置き薬のように出していた。なにしろ時間外の小児科診療は、小児科以外の医師が行っているので。これは怒られるので、小児科医には言えない。
内科はどうかというと、結構安易に解熱剤を使用している。時間外は小児も診療しているが、高熱ですぐ受診してくるので、一家に解熱剤を1~2個常備してもらうため、38℃以上の発熱のある感冒の小児には、解熱剤(アセトアミノフェン)を処方していた。微熱でも、使わない時はとっておいて、と出したこともある。”富山の置き薬か”と自分で突っ込んでいたが、時間外の小児科診療は小児科以外で行っているので。