振戦と認知力低下をきたして、頭部MRIで中脳に病変を認めた65歳男性のその後。
先週の月曜日に地域の基幹病院脳神経内科に搬送していたが、火曜日の午後には担当の先生から連絡が来た。中脳の脳梗塞と判断したそうだ。ついては、抗血小板薬を継続するだけなので、後は慢性腎不全の治療をそちらでお願いしたいという。
患者さんは木曜日に戻ってきた。
診療情報提供書によれば、
中脳の正中にかかる脳梗塞はかなりまれだが、同様の症例は報告されている。いわゆる「ギラン・モラレ三角」の障害で、振戦・口蓋ミオクローヌス・運動失調を呈している、ということだ。
もともと僧房弁置換術後で、心臓血管外科からバイアスピリンが処方されていたので、継続するだけになる。
慢性腎不全は、低カルシウム血症・高リン血症(高カリウム血症は今のところない)の治療をして経過をみることになる。
ギラン・モラレ三角は、初めて聞く用語だった。部位は頭部MRI拡散強調画像だとよくわかるが。
慢性腎不全による低カルシウム血症・高リン血症の治療は、透析で来てもらっている腎臓内科医に相談した。ビタミンD製剤とカルシウム製剤(沈降炭酸カルシウム3g/日)の内服を開始して、数日血清カルシウム値がある程度正常域に近づくまで、カルシウム製剤の点滴静注併用も勧められた。