火曜日に糖尿病・高血圧症の68歳男性が、内科医院から腹痛・嘔吐で紹介された。感染性腸炎疑いとあったが、排便は泥状便が少量のみで、腸炎ではない。医院からの救急搬送だったので、救急隊の搬入記録には急性腹症と記載した。
前日夕方から軽度の腹痛があって、その後嘔気が続いて、何度か嘔吐した。軽度の腹痛(右下腹部痛)は持続して、間欠的に腹痛が増強していた。腸閉塞らしい症状だった。
2年前に右鼠径ヘルニアに手術を当院外科で行っていた。右鼠径部に小さな手術痕があり、腹痛の部位とは合うが、この手術ではたして癒着性腸閉塞をきたすのだろうかと思った。しかし虫垂炎や憩室炎では間欠的な腹痛の増悪はない。
「痛いので何とかしろ」というので、アセリオ1000mg点滴静注を行った。痛みが和らいだところで、頑張って立位になってもらい、胸腹部単純X線を撮影した。ニボーを認めて、腸閉塞らしかった。
血液検査で腎機能に問題ないのを確認して、腹部造影CTを行った。右下腹部の小腸に狭窄部とそれにつながる拡張部を認めた。癒着性腸閉塞として、外科医に連絡した。
外科入院後に、イレウスチューブを入れて保存的にみていたが改善がみられず、木曜日に手術になっていた。
急性腹症では基本的に腹部造影CTを行うが、血液検査の結果が出る前に単純X線を撮影しておくと、疾患の見当がつく(ことがある)。