火曜日の内科新患に背部痛の79歳男性が紹介されてきた。その日の新患担当だった内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が診察した。
1月初めから(2か月以上前)背部痛があり、整形外科クリニックに紹介したが、X線では異常がないとされた。アセトアミノフェンで経過をみていたが、疼痛が増悪したための紹介だった。
発熱はなく、白血球5200・CRP0.8と炎症反応はわずかな上昇のみだった。しかし検査室から赤血球の連銭形成ありと報告があった。血清総蛋白10.1g/dl・血清アルブミン3.7g/dlとグロブリン値亢進を示唆する結果だった。
院内で免疫グロブリンも測定できるので、追加するとIgA3734と著明に上昇していた(IgG・IgMは正常域)。胸腹部CTでは、腰椎の横突起に腫瘤による溶骨の所見があった。(背部痛は同部位ではないが)
若い先生から相談したいと連絡が来たが、ちょうど消化器科の先生と内視鏡的胃瘻造設をするところだったので、後でと答えた。
他の仕事もあったので、その後に若い先生に訊くと、多発性骨髄腫疑いとしてがんセンターに紹介としていた。患者さんは普通に歩いて外来を受診しており、全身状態もそう悪くないという。外注の血清免疫電気泳動を提出してM蛋白を証明してから紹介してもいいかとは思った。でも診断はまず間違いないので、当院でぐすぐずしているよりさっと紹介するのが正解かもしれない。
若い先生は水曜日までで1年間の当院の地域医療研修を終了した。初期研修を修了して3年目で当院に来てもらった(県の指示)。自治医大出身なので、内科専攻医のうち2年間は県の指示で県内の自治体病院に出向になる。来年度はホスト病院である医療センターで過ごし、専攻医3年目はまた別の自治体病院に出向する。
自治医大出身・医療センターで初期研修というコースで、3年目としての診療でかなりのことができているので優秀だった。研修中に病院の女性事務職員と結婚したので、その点でも記憶に残る先生だ。