なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

薬局の針刺し事故

2020年10月07日 | Weblog

 昨日の午後に、病院の近くの調剤薬局で針刺し事故があったと、事務から感染管理ナース(ICN)に連絡が入った。

 患者さんは糖尿病・バセドウ病で当院内科に通院している67歳女性だった。内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が入院時から診ている。糖尿病はバセドウ病により増悪したと思われたが、抗GAD抗体が要請で血中Cペプチドも低下(インスリン依存状態相当)と判明したという経緯がある。

 インスリン強化療法をしていて、使用済みの針は病院で回収しているが、この患者さんは針を処方している薬局に持っていっているらしい。空きペットボトルに入れていた針を手指に刺していた。

 院内だと、患者さんの感染症保有の有無を確認して、刺してしまったそうだ。やはりインスリンの針は専用の容器(壁を針が突き抜けることはない)に入れるのが好ましいが、お金がかかるのでペットボトル使用が多い。

 針を刺した薬局の職員(57歳女性)が病院に来た。B型肝炎のワクチン接種歴はないという。さて患者さんはと見ると、入院した時に感染症の検査がされていなかった。ただその日に外来受診しているので血清は残っている。患者さんの同意があれば、検査の追加は可能だ。

 患者さんに連絡して同意をとろうとしたが、なかなか電話がつながらなかった。針を刺した女性の結果(当然、HBs抗体陰性)が出たころに連絡がついて、残りの血清で検査を開始した。

 患者さんのHBs抗原・HCV抗体は陰性だった(HIV検査は外注)。HBグロブリンは不要だった。これを機会に、HBワクチン接種を勧めて、1回目のHBワクチン接種を開始した。あとは1か月後(2回目)、6か月後(3回目)のHBワクチン接種予定。(患者さんの追加検査は、薬局側の支払いになる)

 HIVは検査は行うものの、暴露後予防投与は行っていない。近隣の病院でも行っていないそうだが、全国的にはどうなっているのだろうか。

 

 

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