昨日、地域の基幹病院脳神経内科から脳出血の87歳女性が転院してきた。
9月下旬に意識障害で通院している内科クリニックから紹介されていた。頭部CTで左視床出血を認めた。急性期を過ぎても意識障害が遷延していた。脳波もみたが、てんかん発作(非けいれん性てんかん重積)ではないと判断されていた。
経鼻胃管からの経管栄養を朝夕注入していた。嚥下訓練をしていたが、実際は意識障害で訓練にはなっていなかった。
転院して来ると開眼していたが、また閉眼してしまう。送られてきたCDで画像を確認すると、診療情報提供書には左視床出血としか記載されていないが、脳室穿破していた。
これでは意識障害遷延は説明できるのではないか。血種が吸収されたような画像はなかったので、明日に頭部CTで確認することにした。
1~2週間嚥下訓練を行って、経口摂取の見込みがなければ、家族と相談して栄養摂取をどうするか決めることにした。経管栄養継続になれば、経鼻胃管ではなく、内視鏡的胃瘻造設もあるか。(年齢的にはあまりしていないが、この患者さんは見た目が若いので、適応があるのかもしれない。)
糖尿病もあり、DPP4阻害薬のみ処方されていた。転院依頼の情報提供書以外に追加情報提供書も付いて来ていて、インスリンはスケール使用していたが、(きりがないので?)やめたとあった。血糖は高く、インスリン再開を要する。
転院の依頼の時に尿路感染症(急性腎盂腎炎)を来したので、治療中と言われた。6日の抗菌薬投与で軽快治癒としていたが、炎症反応はまだ高く、尿混濁もあった。尿カテーテル留置は管理上での処置らしいので、朝に抜去して、新しい尿カテーテルで導尿した(尿一般・沈査と培養を提出)。自尿があれば、留置しないでオムツで経過をみることにした。
転院時に娘2人が付き添って来ていた。患者さんの夫は9年前に誤嚥性肺炎で入院していて、「先生が担当でした」、と言われた。退院サマリーを確認すると、1か月おきに3回入院していて、3回目の入院の時は重症で入院3日目に亡くなっていた。
「母親(患者さん自身)も喉の炎症で先生に診てもらって、専門医に紹介されました」、とも言われた。確認すると、14年前に急性喉頭蓋炎と診断して、耳鼻咽喉科のある病院に紹介したようだ。
当時はオーダリングシステムのみで、電子カルテにはなっていない。病名と画像は残っているが、紙カルテなので、受診した時の所見も診療情報提供書もそれに対する返事も残っていない。
この病院に来てすぐに数年間に、成人の急性喉頭蓋炎が続いた記憶がある。年に1~2名くらいだが、病状・病名的に印象に残る。
そのころ咽後膿瘍の方もいて、当方としたは唯一の症例。耳鼻咽喉科のある総合病院に搬送したが、さらにそこから大学病院に搬送になっていた。頸部大きな傷を残して、無事帰ってきた。