10月10日の日曜日の日直の時に、1週間前から発熱・右下腹部痛が続く48歳男性が救急外来を受診した。土曜日に内科クリニックを受診して、虫垂炎疑いといわれたそうだ。
10月1日ごろから食後に心窩部痛を感じていた。10月4日から発熱と右下腹部痛が続き、翌5日には38℃台の発熱になった。腹痛は持続痛で、鎮痛薬を飲むとある程度治まる。
食べられないのかと思ったが、腹痛が軽減した時に食事はとれるという。便通は泥状便だが、ふだんから軟便なので何とも言えない。
右下腹部に圧痛があるが、反跳痛としてはとれなかった。筋性防御ともいえないが、体格がよいのが影響しているのだろうか。体温は36.6℃だったが、じっとりとした汗が触れる。
部位的には急性虫垂炎か憩室炎だが、虫垂炎だったら日数的には穿孔して腹膜炎になっているはずだ。食事をとれるというのが奇異な感じがした。
型通りに新型コロナの抗原検査をして(一応発熱外来扱いなのと、紹介する時に必要になる)、すぐに陰性と出た。血液検査を提出して、腹部CTで確認することにした。
基本的には急性腹症の腹部CTは造影検査を要する。体格がいい(内臓脂肪が多い)ので、単純CTでも診断できると思われ、また紹介になるので危険を冒して造影することはないとも思った。
右上行結腸~盲腸の部位に、一塊になった炎症巣を認めて、その中に糞石がある。急性虫垂炎の穿孔による限局性腹膜炎と判断された。
当院では外科手術はできない。すぐに地域の基幹病院外科に連絡すると、受けてくれた。奥さんが運転して自宅の車で来ていた。歩行はできるので、そのまま車で向かってもらった。
あとで血液検査の結果が出たので、FAXで先方の病院に送った。白血球18300・CRP26.5とかなり上がっていた。
その日のうちに手術にはならないで、月曜に手術になるのかと思っていた。今日診療情報提供書の返事が来ていて、診断はそれでよかった。発症数日経過しているので、保存的治療で経過をみるそうだ。