なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

慢性アルコール性膵炎

2021年10月07日 | Weblog

 火曜日に骨髄穿刺をした83歳男性は今日退院になった。検体を採取して外注検査(SRL)に提出するので、結果が出るまで2週間くらいかかるはずだ。

 これまでの診療を振り返ると、糖尿病で2006年から当院に通院していた。当時の内科副院長が1年くらい診て、外来数が多いので当方の外来に回してきていた。初診時から混合型インスリンの朝夕打ちになっていたので、他院からの紹介だったようだ。

 途中から認知症の症状が出始めて、血糖コントロールは悪化した。一人暮らしで頼める人はいない。インスリン注射の打ち方が正確に行われていないようだった。

 教育入院にすると血糖コントロールが良くなったが、退院するとまた悪化するのを繰り返していた。その後施設に入所すると、自己血糖測定(SMBG)もインスリン注射も施設職員が行うので、良好なコントロールとなった。

 

 若いことから大量飲酒があり、自称の飲酒量は焼酎5合/日だった。日本酒は飲まず、ビールやウイスキーは飲むこともあるというので、正確な量なのかもしれない。

 腹部CTで膵全体、特に膵頭部と尾部に石灰化がある。膵臓自体は萎縮していた。つまり、慢性アルコール性石灰化膵炎で、膵性糖尿病ということになる。

 

 インスリン強化療法にしていたこともあるが、空腹時血糖が高くないので、超速効型インスリン毎食時になっている。2914年の血中Cペプチドは0.35ng/mlと枯渇していた。

 慢性膵炎があると、インスリンも低下しているが、グルカゴンも低下しているので低血糖に弱い。夜間低血糖が危惧されるので、可能ならば夜間にインスリンが入らない方がいい。

 

 慢性アルコール性膵炎・膵性糖尿病の患者さんは数は少ないはずだが、若い時からかかわってきた。特に飲酒をやめていない患者さん、膵炎発作を繰り返して断続的な腹痛を来す患者さんは、他院で出入り禁止扱いになっていたりする。

 最近は新規の患者さんは診なくなった。昔のようなアルコール多飲は減少しているのだろう。

 

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