なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

認知症の薬は難しい

2021年10月27日 | Weblog

 79歳男性は昨年に帯状疱疹様の痛みで受診した。明らかな皮疹はなかったが、無疱疹性として帯状疱疹の処方をした。

 その後軽減はしたものの、痛みが継続するので、神経障害性疼痛の処方をして経過をみていた。あまり気にならなくなったようなので、治療終了かと思った。

 今年の春に、いつも連れてくる妻から、認知症で困っているという話がでた。確かに患者さんは自分の症状を短く言うが、それが終わるとさっさと帰る人だった。

 ふだんはあまりやる気がないが、何か言うと急に怒り出してしまうそうだ。認知症としての症状と思われた。神経内科に通院しているが、処方はめまい薬だけだった。

 妻に、せっかく専門の先生の外来に通院しているので相談してみたらと伝えると、話を聞いてくれないと言われた。同じ処方で簡単に済ませているのだろうか。

 内科で診るのも変な気がしたが、頭部MRIと認知症の検査(リハビリ担当で施行してくれる)を行った。確かに認知症相当ではあった。パーキンソン症状はなく、前頭側頭型というほどの症状はない。

 ドネペジルだと興奮しそうなので、ガランタミンにして開始した。4mg朝夕から開始して、8mg朝夕にしていった。妻の話では内服前よりは対応しやすくなっているようだ。

 その後、妻から夜間に寝ないので困ると言われた。糖尿病外来(大学病院から)に通院していて、眠れらないと伝えると、ラメルテオン(ロゼレム)が処方されたが、効かないという。(すぐには効かない薬だが、1か月してもあまり効いていない)

 抗精神薬としては、糖尿病があるのでオランザピン・クエチアピンは使えないので、リスペリドンになる。あまり使いたくなかったので、デジレル25mgを試してみた。妻の話では、デジレルを飲んでからいいようだという。

 

 肺炎・心不全で入院した98歳女性は、抗菌薬投与・利尿薬の調整で軽快した。嚥下調整食3を摂食できる。認知症で精神科病院に通院していて、メマンチン10mgとリスペリドン0.5mgが処方されていた。

 入院後は絶食にして、内服薬も休止としていたが、軽快するにつれて夜間不穏が目立つようになった。日中も何かしゃべっている。寝る前にラメルテオン(ロゼレム)を出してみると、案外良眠できていた。 

 メマンチンも再開した。1週間内服すると、日中しゃべらなくなり、病棟の看護師さんからおとなしくなりすぎといわれた。メマンチンによる過鎮静らしいので、中止して経過をみることにした。

 

 79歳男性もメマンチンを追加するか、メマンチンの単独投与にした方が、いいかもしれない。

 

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