血清免疫電気泳動でIgMλ型M蛋白を認めた83歳男性に、多発性骨髄腫疑いで骨髄穿刺を行っていた。肺炎・心不全は軽快して退院予定となっていたので、結果は外来でみることにした。
骨髄穿刺の結果は、小型リンパ球増加と形質細胞への分化を認め、「リンパ形質細胞性リンパ腫・ワルデンストレームマクログロブリン血症」とされた。
意外な結果だったが、M蛋白がIgMだったので、変だなあとは思っていた。過年粘稠度症候群は今のところないようだ。心不全は利尿薬投与で軽快していて、低アルブミン血症の影響が大きい。
認知症でADLは介助で車いす移乗だった。食事はセッティングすれば自分で食べるが、日常生活全般に介助を要する。糖尿病のインスリンは施設職員にしてもらっている。
骨髄穿刺をする前に、家族(妹)には電話で病状を説明していた。骨髄穿刺の結果が出たので、また電話をした(本来は来院して行うところ)。
がんセンターへの紹介は希望せず、経過をみることになった。紹介してもおそらく精査・治療はせず、経過観察になると見込まれる。
患者さんの弟が、リンパ腫なって入院していたがんセンターで亡くなったそうだ。遺伝性とはいえないが、兄弟なので何らかの関係があるのだろうか。
施設でよくしてもらっていて、特に困ることはないようだ(尿閉で尿カテーテル留置になっているが)。特に病気のことには関心がないのか、促さないと自分からは話をすることはない。
自分から話をしたのは、肺炎で入院した時に数日絶食(誤嚥性疑いだから)になって空腹を訴えたのと、骨髄検査の前に痛いのはいやと言った時だけだった。ひどく嫌がる時は中止もあるとしていたが、案外スムーズに検査はできた。
看護師さんが数人見に来ていて、検査技師2名(女性)も来ていて、女性たちにぐるっと囲まれる形になり、緊張していたのかもしれない。