呼吸器センターのある専門病院から82歳男性が転院してきた。先方の病院から医師付き添いでの救急搬送だった。酸素15L/分の大量投与をしている。
この先生は当院の呼吸器外来に週1回来てもらっている。公共交通機関とタクシーで来ているので、かえって一緒に来るのは便利だった。
すっかり忘れていたが、当方だった。5年前に2016年12月に咳と息切れで市内のクリニックから当院に紹介された。胸部CTで両側肺野に気腫性変化があり、間質性変化を伴っていた。
Combined pulmonary fibrosis and emphysema(CPFE)として地域の基幹病院の呼吸器内科に紹介とした。その後の経緯がはっきりしないが、翌2017年の1月半ばに転院先である専門病院に紹介となっていた。
外来で経過をみていたが、2018年11月に急性増悪で入院して、プレドニンの投与か開始された。退院後は、慢性呼吸不全として在宅酸素療法も開始された。酸素は安静時3L/分、労作時4L/分だった。
2019年にはインフルエンザに罹患して肺炎(二次性細菌性だろう)を併発して入院している。一時的にNPPVを使用していた。また高血糖高浸透圧症候群(HHS)でインスリンも開始された。
その後プレドニンを漸減して、10mg/日になったところで、この先生が当院の外来に週1回きているので、当院呼吸器外来に通院となっていた。
外来でプレドニンと免疫抑制剤で治療していた。今年の9月末に間質性肺炎の急性増悪で呼吸器外来を受診して、そのまま自分の所属先の病院に入院させたのだった。
ステロイドパルス療法などを行ったが、改善せず酸素量が10~15L/分となった。このまま治らないのであれば地元の当院に転院したい、と本人と家族が希望して、転院となった。呼吸困難が続くときは緩和ケア対応(医療用麻薬使用)でお願いしたいという紹介だった。
息切れしながらも会話はできて、食事も少量だがしている。これまでの治療を継続して経過をみるが、せっかく転院してきたので1か月は持たせたい。ただ酸素量としては限界なので、短日数で急変する可能性があることは家族に承知してもらった。
当院で最初に診たのは自分だったので、縁があるのだった。