日曜日に日直の先生から連絡がきた。土曜日の日直・当直~日曜日の日直で大学病院からバイトに来ている外科医からだった。
土曜日の夜間に下痢で受診した96歳男性を入院させたという報告だった。2年前に急性心不全で入院して、内科の若い先生(自治医科大学の義務年限)が診て軽快退院した患者さんだった。
今回は心不全の悪化はなかった。月曜日までの点滴の指示を出してもらった。
月曜日に確認すると、入院時から血圧が200mmHgと高値だった。入院後に必要時指示のニカルジピン(ペルジピン)注を1回使用していたが、血圧は高いままだった。
入院時の下痢は確かにあったことはあったらしいが、量はたいしたことはない。胸痛も腹痛の訴えはなく、夜間から不穏があり、抑制されていた。
下痢便が多量・頻回ではないので、急性腸炎と言い難い。認知症があり、自覚症状があてにならない。外来では胸部単純X線・腹部単純X線だけ行っていたので、腹部CTで確認することにした。
大動脈弓から下行大動脈にかけて、大動脈壁の石灰化が内腔側に寄って、内腔が高濃度になっている。血栓閉塞型の大動脈解離になっていた。治療は保存的治療になる。
血栓閉塞型でも通常は心臓血管センターのある専門病院に搬送している。96歳・認知症・ADL要介助だとどうか。大学病院から交代できている先生にも相談してみたが、搬送の対象ではないでしょうといわれた。
妻と二人暮らしで、息子さん(仕事は引退後)は東京にいる。妻(89歳)にタクシーで来てもらったが、言われることはわかるが、どうしていいかわからないという感じだった。妻が自分の携帯を渡して、息子の番号が入っているので、これで連絡してくれという。その場で息子さんに電話して、病状を説明して早めに見に来るように伝えた。
血圧の目標が100~120mmHgになる。ニカルジピン(ペルジピン)持続静注で対応することにした。