なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

陰性症状

2022年10月17日 | Weblog

 9月20日にあまり食べられない、動こうとしないという訴えで、26歳男性が救急搬入された。

 急激な変化ではなく、少なくともここ数年は同じような状態だった。やせて、筋力は(廃用で)低下しているようだ。

 家族が市内の精神科病院に相談すると、10月11日に外来受診予約となった。その日も診てもらえないかと連絡したが、内科的な異常がないか検査してからでないと診察できない、といわれたそうだ。

 

 工業高校を卒業してからは、ずっと家に閉じこもっていた。アルバイトを数日した以外(続けられなかったか、雇い主から断られたか)、家でというより自室で過ごしていた。

 開眼していて、問いかけると小声でひとことくらい答えてくれる。幻覚・妄想があるか訊いたが、はっきりした返事はなかった。診察した限りでは身体的な異常がなさそうだが、指示が入らないのでよくわからない。

 精神科病院に診療情報提供書を提出するので、一通りの検査を行った。頭部CT・胸腹部CTは異常がなかった。血液検査は甲状腺機能なども含めてまったく異常はなかった。統合失調症の陰性症状を見ているのかと思われた。

  

 家族(両親)に幻覚・妄想の有無があるか訊いてみたが、わからないらしい(言いたくなかったのかもしれない)。身体的には異常がないこと、年齢的には統合失調症かどうかになることを両親に伝えた。

 緊急性はなく、内科で検査した結果を診療情報提供書に記載したので、精神科受診時に提出してもらうことにした。あとは精神科の診察の結果を待つしかない。 

 

 結局予約日に受診したようだ。受診拒否があるかもしれないと思ったが、本人にはそこまでの考えもなかったのだろう。精神科医から、「統合失調症と思われます。内科的な検査をしてもらってありがとうございます。」という簡単な返事(はがき)が届いた。

 

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