なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肘関節炎

2020年11月28日 | Weblog

 85歳女性が尿路感染症(急性腎盂腎炎)で入院していた。担当していた内科の若い先生から相談された。

 セフトリアキソン(CTRX)で治療を開始していたが、尿培養で緑膿菌が検出された。抗菌薬を感受性のあるファーストシン(CZPOP)に変更して6日経過していた(当院の第4世代セフェムはセフェピムではなく、セフォゾプラン)。もともと尿カテーテル留置されていて、複雑性尿路感染症になる。

 熱が下がりません、という相談だった。炎症反応と尿所見は軽快していた。肺炎はなく、特に他の感染症を示唆する所見はなかった。

 通常感受性のある抗菌薬を投与しても軽快しない時は、偽痛風による関節炎が併発していたりする。認知症で自覚症状からの鑑別は期待できない。関節炎の有無を確認するように伝えて、その後に病室に診に行った。

 肘関節が腫れているようですという。確かに両側の肘関節が腫脹して、熱感があるように思われた。ただ患者さんはどこを触っても痛いという。前腕の真ん中をそっと押しても痛いと言われた。

 肘関節の所見は読めないとは思ったが、偽痛風のセットと肘関節のX線を撮影してもらった。意外にも両側膝関節はきれいで変形性関節症の所見もなかった。肘関節は変形性の所見があるが、石灰化の有無はよくわからない。

 偽痛風の関節炎では炎症反応が上昇するので、発熱だけが続いて、炎症反応が軽快するのは合わない。変形性関節症(OA)ではそうそう炎症反応は上昇しないが、これはOAの発熱?。

 抗菌薬は一定期間投与して中止として、NSAIDs併用で経過をみてもらうことにした。当院は今年度整形外科の常勤医がいなくなったので(大学病院から週2回の外来応援のみ)、この分野は弱い。

 

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